クレーム対応は「まず謝る」が、まず誤り(韻を踏んでみた)

タイトルは韻を踏んでみたかっただけです、ごめんなさい。

企業法務マンサバイバルというブログの「法務マンが教える安全なお詫び状の書き方」っていう素晴らしい記事を拝見しました。

思わず反応して僕もブログ書きます。

BtoBの法務をやっている間は滅多に無かったのに、BtoCの会社に転職してドッと増えたのが、お客様に対するお詫び状を作成・レビューする量。

(略)

お詫び状というのは、まだ紛争状態にない相手に提示する契約書と違って、すでに怒らせている相手に出す文書なわけですから、実は最も緊張度の高い法律文書だったりします。それだけに、慣れない人が書こうとすると「お詫びすると否を認めたことになって損害賠償とか要求されるから、たぶん『申し訳ございません』って書いちゃいけないんだよな・・・」などと悩み出し、お詫び状なのにお詫びの言葉が全く入っていない意味不明な文書ができあがったり(笑)。

法務マンが教える安全なお詫び状の書き方

僕は(法務部門じゃないですけども)このテの書面やメール・対応方針のチェックとかやってるんですけども、やっぱり、こういう風な誤解を聞いたりします。謝ったらダメ、みたいな。

引用元の記事では、法務の視点として「お詫びしない方が良いポイント」を書かれているのですが、「争いになった時に勝つための条件」ではなく、ちゃんと「お客様対応のあるべき姿」として書かれていて、とても正しく、納得の内容なのです。

何について謝っているのかを分析せず、中途半端に謝るだけ謝ってみたり、できもしない再発防止策を口だけで述べたり、逆に原因分析もろくにせずに結果的に何に対しても謝っていないニセのお詫び状を書いたのでは、お客様にも見透かされ、かえって怒りを増長するだけです。

仰る通りですなあ。

大切なのは『何が問題か』を、ちゃんと理解しているかどうか。

ここらへんから話は少しだけズレますが、割とよく『クレーム対応は、まず謝る』って言われてるじゃないですか。

検索でも、そんな文書が大量に見つかりますし、マニュアルや書籍にも書かれていることが多いようです。

でも、それ誤りですから。

上記の引用のように、「企業法務マンサバイバル」でも"何に謝っているのか"が大切って書かれていますよね。

って、そんな風に書くと 「お客様には、まず謝らないと怒りが収まらないじゃないか!」って声が聞こえてきそうですが、謝罪をするなって言っているわけではないので誤解なきよう。
お客様に『キミは何に謝ってるの?説明してみて』って言われたことあります?

『「まず」謝る』って教えている方は、それに答えられないでしょうって話ですよ。

問題は「何に謝罪しているか」なんだよ。

『「まずは」お詫び』とか言ってるのは、『自分でも何にお詫びしてるかわからないけど、とりあえず詫びの気持ちがあるところを見せよう』って言っているのに等しいわけですよ。

何に対して謝っているわけでもなく、ただ怒っている相手を静めたいという、超自分本位でカタチだけ、上っ面だけの、行動。

まさに「クレーム対応」ではなく「クレーム処理」の一例と言えるでしょう。

何に謝っているわけでもない人の「お詫びの気持ちがありますアピール」なんてバカにしてるとしか思えない。

ホントこれ完全にお客様をバカにした行為なんだけど、やっている人たちはそれに気づいていないことが多いんだよな。

だから、『「まず」お詫び』なんてことを軽々しく教えたりする。「どんな姿勢をもって、何に対して、どのようにお詫びするか」ちゃんと教えずにそんなことを言うなっての。

そんな薄っぺらいお詫びでも、僕の経験からすると10人に8~9人くらいは、お詫びとして受け止めてくださるから、「まずお詫び、で上手くいった」って思っちゃう人が出るんだろうけども、薄っぺらい姿勢を見透かして『それ、何に対して悪いと思って謝ってるの?』って質問されるお客様もいるってことをお忘れなく。

そして、お客様をより怒らせてしまったとき、『「まず」お詫び』とか自分本位なことを言っている人たちは、自分たちで火に油をそそいでいるにも関らず、これまた勝手にお客様を「短気で難しいお客様」と評価してしまうことが多いのです。やれやれだぜ。

重ねて書きますが「お詫びをしない」、ということではないんですよ。

「何に謝っているのかはっきりした、心のこもった本当のお詫び」でなければ意味はないし、お客様に失礼だろうって言っているのです。

「まずお詫び」なんて軽々しく言うの、やめませんか?