メルカリ二次創作物の公式流通プラットフォーム構想、「宇宙兄弟」が成功事例になったら凄いこと起きるかも。

今年の6月から始まっていたんですけども、メルカリが「Ingress」の二次創作物をメルカリを通して販売する場合に公式ライセンスを付与して、権利者にライセンス使用料をを支払うというのを始めていました。

で、今日発表されたのが「宇宙兄弟」の二次創作物に公式ライセンスを付与する(そして権利者は二次創作物でもライセンス使用料をがもらえる)仕組み。

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6月にこの仕組みが始まったばかりでIngressだけだったころは、「すごい」と思いつつもそこまでマークしていませんでしたが、「宇宙兄弟」という人気の漫画作品で実績ができたら、ライセンスビジネス周りとかへの影響が凄いことになるかもしれないなと思っています。

これが6月の時点でメルカリのリリースにあった図。
この時点で既にIngressに限らない「二次創作物の公式流通プラットフォーム」を形成していきたいみたいな発表がされていたわけですね。

メルカリ二次創作物の公式流通プラットフォーム構想

https://www.mercari.com/jp/info/20160613_ingress/より引用

ぶっちゃけ、ウチのサービスでこういうのやれないかなーとか僕も考えてたんで、やられた感はありました。
とはいえライセンスもの作ったり、そこらへんに関わったことある人なら、こんな感じのスキームで自由に公式グッズ作れるようにってみんな一度は考えたことあるような仕組みなので「僕も考えてたわー」ってドヤっているわけではありません。

どこかでチャンスあらばウチでもやれるかもしれないけど、やっぱり力のある著作物もってるコンテンツホルダー・ライセンサーって自由度を高めたいってより保守的なところあるんで、スキームは作れても「確実に多くの人が使うであろう」という確信がもてる形になっていないと権利者が納得しないから機能しないだろうなと。

そこは流石メルカリ、ちゃんとワークしそうな形にまで持っていっていてて凄いなあと思った次第です。すげえなあ。

二次創作・同人グッズ市場はこれからも伸びる

で、二次創作グッズって今すごい増えてるわけですよね。
通販に限って話しますが「公式グッズ通販」という市場の影に「同人グッズ通販」という市場があって、ご存知ない方が流通量を聞いたらビックリするくらい売れているわけですね。

同人関係に疎い方だと(僕もそんなに詳しいわけではないのですが)同人マーケットは「同人誌」しかないものと思っているかもしれませんが、衣類・バッグ・アクセサリー・スマホケース・雑貨などなどなど「同人グッズ」市場は大きいし種類も多いのです。
最近だとアクリルキーホルダーがアツい気がします(何)

まあ、そんな感じでマーケットはそれなりにあるわけですよ。

で、当然これらは「あくまでファン活動の範囲」としてライセンスをとっていない・ライセンス使用料を払わないで販売されている商品です。
ちゃんとライセンスとってる公式グッズより売上規模が大きくても。

それに対してライセンスをとっているグッズを作っている企業は、ライセンサーに頭下げて契約書とりかわして、販売計画や企画書を提出して許諾をとって、無償でサンプルを提出(提出数が多い契約だとサンプル代がバカ高くなるわけです)して、量産したものをリスクとって在庫して、契約にもよりますが売れなくても生産数に応じてライセンス使用料を支払うというようなことをしているわけですね。

「公式流通プラットフォーム」になったら凄いことが起きるかも

ここから先は僕の妄想が入っていますが…「宇宙兄弟」クラスのメジャータイトルで成功事例が作られて、メルカリの「二次創作物の公式流通プラットフォーム」が「プラットフォーム」といえるレベルになるまで参画するライセンサーが増えたら、ライセンスビジネスの歴史に残るような凄いことになるのではないでしょうか。

今回の「宇宙兄弟」は公式素材が配布される(使わないでも良いみたいですが)ようですから、同じように公式素材を配布するコンテンツが増えたら、ほぼほぼグッズ企画会社と二次創作のファンが横並びに近い状態になります。

そして、もしも「公式ライセンスが付与できる作品がこんなに沢山あります」的に公式ライセンスを付与できるコンテンツがカタログみたいに並んでいる状態になったら、ちゃんと契約書を交わしてライセンスビジネスをやってきた企業が作ったかどうかなんて関係なくなるのかもしれませんよ。あくまで僕の妄想なので実際にどうなるのかはわかりませんが。

二次創作の同人グッズが売れても作家やライセンサーにはお金が入ってこなかったわけですが、かといってファン活動はしてもらった方がコンテンツホルダー的には良いから、それらがバカ売れしていても権利を主張はしない。同人活動をするファンとライセンサーはそんな微妙な関係性だったわけですが、「公式流通プラットフォーム構想」が機能したら作家などの権利者は二次創作からもライセンス使用料がもらえるかもしれないと。

これは作家にとって、かなりプラスになるかもしれません

とはいえ、課題もあります。
ライセンス使用料を払わず非公式で売る二次創作・同人グッズの方が数は多いでしょうから、その住み分けというかライセンス使用料を払うメリットをどうするんじゃいと。

「公式流通プラットフォーム」を通してライセンス使用料を払っている人が払い損するようになったら面白くないですもんね。今でもファン活動としての同人グッズ販売はライセンス使用料を払っていないわけで、今後も使用料を払っていない同人グッズに対して権利者が権利主張するってわけにはいかないでしょう。

そこらへんの解決策をどうするか考えてしまうところはあるものの、素晴らしい仕組みには変わりませんね。いや、ほんとメルカリすごいなー。
最初に「Ingress」の許諾を出したナイアンテックやメジャー作品である「宇宙兄弟」でやろうって話にしたコルクも凄いけど。

僕は個人的にワンフェス当日版権システムとか最高にクールだなーと思ってるタイプなので、こういうインターネットっぽい仕組みが世の中に増えていくのは歓迎です。

本当は僕が自分でやりたかったけどねw