僕たちがサービスを事業譲渡してCAMPFIREにジョインするまでの軌跡とこれから。

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先日、リリースが出て少しネットで話題にしていただきましたが、僕の会社で開発・運営してきたSTARtedというWebサービスをクラウドファンディングプラットフォームのCAMPFIREへ事業譲渡することになりました。

事業譲渡といっても、今回のはいわゆるイグジットとかバイアウトという言葉からイメージされるような売却ではなく、あくまでもCAMPFIREと「一緒にやる」ために僕らSTARtedの運営チームごと合流、という形になります。「ジョインする」っていう方が適切ですね。

STARtedを運営開発しているチームメンバーはCAMPFIREの社員になり、僕は2017年からは株式会社CAMPFIREの執行役員を兼任します。

今回は会社ごとではなく事業のみ譲渡ということにしましたので、株式会社バンダースナッチは既存のEC事業と新規事業をやるために存続。
僕や創業メンバーは2社を掛け持ちです。数名いる社員はちゃんと話し合って全員CAMPFIREに移籍してくれることになりました。

いまいるメンバーはみんなSTARtedというサービスの方向性に共鳴して働きたいと言ってくれた人たちなので、これからも一緒に働けるということで嬉しい限り。

こういうブログを書くならリリース出てすぐ出した方が盛り上がるんでしょうけど、ご報告を書ねば……と思っているうちにか年末になってしまいましたね。

年末のこんな時間のブログ公開で、しかも書きなぐりの読みづらくて長い文章になってしまっていますが、年末年始のどこかお時間のある時にでも僕と仲間がやってきたこととこれからについてを読んでいただけましたら幸いです。

※書くだけで疲れちゃったので後日に読みやすくなるように校正したり修正いれるかもです

STARtedをつくるまで

STARtedは約3年前、2013年の暮れに社内の定例ミーティングで構想を話して開発がスタートしました。

その時は会社を作って2年ちょっとしたくらい。

「今は不安定だけど新しいことできる余裕が少しでてきた。今のうちに将来に向けて新しいサービスを作ろう。今の会社はイカダみたいな状態。海には出られるようになったけど大波がきたら木っ端微塵になって死ぬ。海に出られるだけで満足せず、いずれくる大きな波に耐えられる船を作りはじめよう。」ということをミーティングの場で話した気がします。

STARtedは「イラストが服になる」ですとか「(誰でも)つくりたい、がつくれる」がコンセプトのサービスです。
専門知識や大きなお金のない個人でもアパレルブランドを立ち上げできるサービスとしてスタートし、今は個人向けの小規模だけではなく企業向けの大規模な製造まで、あらゆるロットのあらゆるジャンルで服やバッグ・縫製品を作ることができるインターネット上の工場に成長しました。

更にその2年くらい前、つまり今から約4年くらい前に子供服ブランドをアパレルのことも分からずに力技で立ち上げたんですが、その経緯をブログに書いてからというもの、見ず知らずの方から「わたしもブランド立ち上げしてみたいんです。どうしたらできますか。」というご連絡をいただくようになりました。

これが誰でもつくりたいものをつくれるWebサービスであるSTARtedの源流です。

その当時は「お金たくさん必要ですよ」とか「僕らは仕事だから、専門知識を勉強しながら何とかやりきりましたけど、ちょっとやってみたいレベルならそこまでやれませんよね?」なんていう風に止めた方がいいですよ的な返答をしていました。でも、ご相談に来られた方ひとりひとりが個性的なアイディアを持っていたので(売れるかどうかは別として)そういった人たちが活躍できないのって良くないしインターネット的じゃないなと2年近く頭のどこかにひっかかってもいました。

事業資金といえるレベルのお金、専門知識、それから生産背景とのコネクション。
それらを全て、もしくは少なくともそのうち2つくらいはないと不可能というのが当時の常識でしたが、ある日STARtedの生産の仕組みを考えついて、協力してくれる工場やプロの方を探してみたら何とか段取りをつけることができたのがSTARted誕生の瞬間です。
(詳しい仕組みに興味のある方はSTARtedのサイトにもこのブログにも何度か書いているのでそちらを探してみてください)

ローンチ前にワールドビジネスサテライトに出た

今後も笑い話としてネタになりそうなのですが、当時の僕らは積極的な告知はまったくせず、どのくらい社会に必要とされているのかをテストすべくメールアドレスが登録できるだけのティザーサイトを1ページだけ作って放ったらかしにしていました。

そんな状態なのに、2014年4月にテレビ東京から電話が。

「このサービスをワールドビジネスサテライトのとれたまで紹介させていただきたいのですが」

まだローンチすらしていないのに初戦がボス戦みたいな電話がかかってきたわけです。開発を進めたりベータテストをしたりはしていたものの、こちらとしてはティザーサイトの登録が多かったらちゃんとやろ…といったユルい感じでサービス開発していたので青天の霹靂です。

そして、あれよあれよとその電話がかかってきて数日後4月18日にロケがあって、そのまま当日にオンエア。

トレたまキャスターの相内優香さんが書いた絵を具現化するという流れだったのですが、できた服を気に入って「今日、これ着てスタジオ出る!」と大興奮で言ってくださったのが嬉しかったですね(その後暫くは人に会うたびに相内さんかわいかった?しか訊かれなくなりましたwww)。

番組で紹介された反響も大きく、他のメディアからの取材はもちろん、協力してくださる工場やプロの方からのお申し出も増え、ローンチしていないのにいきなり下駄を履かせてもらった感じです。

まあローンチ後というか今でもテレビや新聞などメディアからの取材をいただくことが多く、ありがたい限りです。規模の割にこんなにメディア露出が多いサービスって珍しいんじゃないでしょうか。僕らの中にはPR担当もいないし、何もしていないんですけどね…。

思い返せば、この取材がなかったら今STARtedは存続していなかったかもしれない。運が良かったとしか言いようがないし、STARtedを見つけてくれたディレクターさんには感謝しかありませんです。

インターネットらしさ

もちろんビジネス的な収益構造なども考えてはあるものの、少し上の方で書いたようにSTARtedは起業2年ちょいの僕らが「既存事業とは別の新規事業として”育つかもしれない”サービスを作ろう」という会社のフェーズに合わせた考え方から生まれてきました。

ですので、ビジネス性よりもサービスとしての面白みや伸び代の優先度を高めて設計しています(ビジネス性もないと継続できないので無視しているわけではありませんが)。

ここで突然の個人的な話ですが、僕が初めてインターネットに触れたのは1995年くらいで、自分の個人ホームページを作ったのが1998年くらい。

1999年末からは当時のクソ重いノートPCをバックパックに入れて東南アジアやインドでバックパッカーをしていたのですが、当時はブログもなかったので現地でHTML書いてリアルタイム旅行記を更新するテキストサイトを運営していました。

沢山いる「現実生まれインターネット育ち」のうちの無名のひとりでしかありませんが、日本のインターネットの成長をリアルタイムに体験してきた世代であります。

そんな僕が会社のフェーズに合わせて設計したSTARtedには―――絵や映像・音楽などの各クリエイティブ分野のプラットフォーマーが展開したWebサービスがそうであったように―――できる限り参入障壁を下げて「誰でも活躍できるインターネット的な場」をファッション・アパレルでも、という思想が根幹にあったりします。

少しわかりやすく書くと、学生と主婦とプロが並んで勝負になってしまうような、そんな世界観を実現するために参入障壁をとことん下げて、アイディアやデザインがあれば誰でもプロと同じ製品クオテリィになる製造ツールと発表の場をセットで用意したわけですね。

2014年9月にSTARtedは正式ローンチしました。

継続させていくために考えた

誰でも有名ブランドと同じように製造ができる、恐らく世界で一番お手軽なアパレルSPAが始められるサービスであるSTARtedですが、YouTubeやニコニコ、Pixivといったデジタルコンテンツのプラットフォーマーのように無料で始められます!というようなサービスではありません。

従来と比較して桁違いに参入ハードルが下がったとはいえ、お金がかかりますのでプラットフォーマー的に数万~数十万というようにユーザーを増やせるような構造にはならないわけですね。

ユーザーが支払う金額をできる限り小さくしている上に、ユーザー数の伸びるスピードが遅いわけですから、このままだとサービスの継続性的にはなかなか厳しいものがあります。

そこで僕らは、サービスを始めて1年経過した2015年9月にリニューアルをすることにしました。

協力してくださる工場も増えに増えて、本当に「つくりたいが、つくれる」強力な製造背景を手に入れていたので、それまでの個人のブランド立ち上げだけに限定していたサービスに追加して、事業会社やECショップ、小規模ブランド向けにインターネットの工場として使っていただけるメニューを開放したのです。

BtoCtoCだけだったメニューにBtoBtoBを加えて、自由に使えるようにしたわけです。これは非常に効果的で、使っていただける機会が増えただけではなく、全体の製造量が増えたので従来のC向けブランド立ち上げのメニューの製造量やクオリティも上がるという効果までありました(アパレル商品開発、企業の制服、ノベルティ、コンパニオンの衣装などなど。ご利用をお待ちしております…!)。

また、B向けの場合は売上が立ちやすいので、その売上と利益を使ってC向けブランド立ち上げのメニューに投資を増やすことができたのも良かった点です。

踊り場(というのか分からないけど)をどう抜けるか

しかし、このSTARtedという事業を始めて2年を経過した今年の秋ごろから僕は焦っていました。

ビジネスは後回し。まずは良いサービスを先に作るという考え方で2年もの時間を使ってしまいましたが、これまで得てきた経験からSTARtedの今後を考えると「投資を止めて自分たちの身の丈にあった小さなビジネスに落とし込む」か「資金調達をする」かを迫られていたからです。

2年もサービスに投資を続けてきましたが「投資を止めて自分たちの身の丈にあった小さなビジネスに落とし込む」を選択すれば、「この規模のサービス」と割り切ってバランスをとり、自分たちの身の丈にあった小さなビジネスとして続けていくことになります。規模はあまり大きくありませんが、他に類を見ないユニークなサービスとして生き残っていくことはできるという選択肢です。

また「資金調達をする」という選択肢ですが、これも2年の間に何度もチャレンジはしてみていました。

メディアで紹介されたりイベントに出たりするたびにベンチャーキャピタルの方からお声はかかるので何度もご相談したり、実際にデューデリを進めたりもしていましたが、「面白いけどビジネス的に先の読めないC向けブランド立ち上げサービス」としては僕らが必要としている金額での資金調達は厳しい。そりゃそうだよな、という納得でもあるのですが。

1年前に追加したBtoBtoBのメニューはそれなりに調子が良く、アウトバウンド営業もしないで売上が立っていて伸び代もあります。
「アパレルでも個人が活躍する」というサービス思想を捨てて、toBの製造サービスにピボットしてしまえばエクイティでの調達可能性は高まりますし、調達できなくてもデットでビジネスを回せる良い事業になりそうではあります。

(あ。ピボットとかエクイティとかデットとか分からない人は読み飛ばしても問題ありません。なんでこんなルー語みたいになっちゃうんだろうねw)

小さくまとめてしまうのも、toBの製造サービスにピボットしてしまうのも、正直なところ面白みはないけど、どっちも悪くはない。

しかしそのうち創業メンバーと「これだ!これしかない!」という決断ができないなら、だらだらやらずにサービスをクローズした方が良いのではないかという話すらするようになっていました。

新たな方向性を見出す

折角ここまで育てた世界でも他に類をみないサービスをクローズするのもなあ…、しかしピボットや縮小均衡を選んで良いものかも決断がつかない。

そんなタイミングで、たまたまCAMPFIREの担当者の方がクラウドファンディングのプロジェクトのためにSTARtedを使って製品の製造をしてくれていた。
STARtedは割とゲームやITサービスなどの有名企業からのオーダーも多いのです。

そのプロジェクトに協力する中で、CAMPFIRE取締役の高村さんや担当者の方と何度か打ち合わせをさせていただいたのですけれど、「あ、この人たちとは一緒に働ける感じだわ」と思ったんですね。非常に感覚的な話ですが仕事の仕方とか目指してる方向とかにフィット感があったというか。

そう考えてみると感覚的な部分だけではなく、事業シナジーやサービスの方向性といったところもフィットしていることに気が付きました。

ご存知の方が多いでしょうがCAMPFIREはインターネットを通じてクリエイターや何かをしたい人・組織が不特定多数の人から資金を募るサービスです。
様々なアイディアや企画を実現するために資金と支援者を集めるCAMPFIRE。
対してSTARtedは、こんなものを作りたいという気持ちを現実の製品にするサービスです。

やりたいことを実現させるサービス同士ですから、方向性的にも完全にマッチしています。むしろ、ちょっとシナジーあるどころの話ではありません。クラウドファンディングを使って今までよりも更に金銭的な参入障壁を下げて、STARtedが機能したらすごいことになるのでは…

そこで、思い切って僕らのサービスの状況をお話した上で「CAMPFIREに僕らのサービスごとジョインとか検討できるものですか?」と正直にお話をしてみたんですね。

CAMPFIREに合流できるのであれば、ピボットするのではなく方向性はそのままに成長スピードを上げて、しかも今よりもより良いサービスにしていくことが可能になるだろうと考えたからです。CAMPFIREにとっても僕らの持っている製造力があれば強力な武器になるのではないかと。

CAMPFIREの担当者がSTARtedにオーダーをしていなかったら、こんな話をすることもなかったでしょう。このタイミングだったのは運が味方してくれたのだなとしか言いようがありません。こう書くと、なんか運だけで乗りきってるみたいですねw
もちろん、そんな運だけでやってきたわけですし、何よりユーザー・お客様のおかげですが運もそれなりに良い方みたいですね。

CAMPFIREにジョインすることに

CAMPFIREの社長である家入さんといえば上場企業GMOペパボの創業者で、他にも沢山のサービスを立ち上げたり、有名なサービスの創業に関わっている方。

僕の半径1クリックに家入さんと一緒に働いていた人は沢山いるものの、僕自身は家入さんと直接お話をしたことはなく、この件のご相談でお会いしたのが初めてでした。

家入さんはちょっと可燃性のある感じの方(←僕なりに気を使った表現)なんですけども、僕のお友達や知人で一緒に働いたことのある方からは「家入さんは良い人だよー」と言われていたので、過去に一緒に働いていた方から悪く言われないんだから人に好かれる人なんだろうなーと思っていました。そして、実際にお会いして「あ、本当にそうだわ」と納得。

家入さんの過去の経験とか最近考えていることは「さよならインターネット」という本に書かれているんだけど(PR)、これを読んでみて家入さんの考える「インターネット的なもの」って優しさとか許容のあるものなんだろうなと感じました。

これって、僕がSTARtedを考えたときと近い理念や世界観だと思ったんですね。
家入さんは有名人だし僕なんて足元にも及ばないくらいの経験をされてきた方なので対比するのもアレだけど、同時代のインターネットを経験し続けてきて近い理念や世界観を持ったサービスをやってるという共通点がある。

CAMPFIREはサービスを通じてあらゆることの参入障壁を下げて「誰しもが声をあげられる世の中をつくる」ことを目指しているわけで、まさに完全に一致。

そんな背景から、サービスとチームごとジョインする話もすぐに「これはいける」となったわけです。

いや、普通そんな簡単に「これはいける」とかならないと思うんですけども、割とアッサリと決まりました。雑に意思決定したわけではなくて、お互いの考え方なんかのマッチ度合いを話してみたら短時間で理解しあうえたからですが。

超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてないチームごとの事業譲渡が決定したわけです。この規模では最速レベルで決まったんじゃないかな…。

STARtedとCAMPFIREのこれから

これからのSTARtedとCAMPFIREが一緒になってどう進んでいくのかは改めて冒頭に貼ったリリースを読んでいただくとして、僕がサービス開始当初に妄想していた素人の中高校生が立ち上げたブランドと、ガチのアパレルデザイナーのブランド、絵師が描いたアイテムが、ダダッと並ぶような楽しいカオスを実現できる準備が整いました。

CAMPFIREのクラウドファンディングとSTARtedのクラウドファクトリーを使って、ピュアなファッション分野から、面白い企画物、生地の産地や地方の工場と提携した地方創生事業などなどを総合的に実現する化物的なサービスになるまで育ていきたいなと考えています。

ちょっとギスギスした話が多い2016年のインターネット界隈でしたが、僕はSTARtedとCAMPFIREは「インターネットっぽい面白さと優しさがあるサービス」と思っています。手前味噌ですが。

急に決まった話ですし、まだCAMPFIREの中の人として仕事が始まっているわけではないので未知なことが多いのですが、そういう面白さと優しさを最大限に拡張させられるサービスと会社になるよう、これからも僕は僕にできることを全力で頑張ります。応援してくれたり温かく見守ったりしていただけましたら幸いです。

一緒に何かしたいとか「こんなことできる?」なんてご相談はどんどんくださいね。もちろん「一緒に働きたい」も。お茶しようよ程度のお気軽感で年末年始や曜日を問わず24時間いつでもご連絡くださいませ!

あ、創業メンバーだけの会社になっちゃいますが(社員と一緒に働き続けられるとはいえ、少し寂しいですね)、株式会社バンダースナッチの方でも新しくて面白い新規事業をスタートさせますんで、そちらも温かく見守っていただけましたら幸いですー。

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