WebSig会議「ストレスフリーのWebプロジェクト ~Web担当者に出来ること、制作会社に望むこと~」


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# 当日使ったスライド公開しますた。


前回のエントリで書いた通り、何者かの陰謀か、または何かの間違いにより、僕みたいな特別感の薄い人間がスピーカーとして招かれてしまったので、6月6日のWebSig会議「ストレスフリーのWebプロジェクト ~Web担当者に出来ること、制作会社に望むこと~」で話をしてきた。


Web制作サイドと、発注者サイドのギャップを埋めるためのコミュニケーションについて、それぞれの視点から話をするってことで、そこの発注者サイドの話を僕が担当したわけです。

制作サイドの話をされたのは、ネットイヤーのプロジェクトマネージャー 片山さん。
片山さんとは2006年7月のWebSigにたまたま参加していて、二次会でたまたま同じ席だった以来、ちょこちょこ話をするような間柄だったのですが、そんな僕と片山さんがタッグで講演することになろうとは。いやはや。




■片山さんはロジカルだが熱い!

片山さんの講演内容は、以前に僕も紹介している「担当者のコトバに振り回されるな! ~1から10を読み取るロジカルコミュニケーション~」WebSig用にバージョンアップされたもの。


公開資料は studio room134 からどぞ。

すげー勉強になる。

銀行のデータらしいんだけど、サービスに対して「感情的満足を感じている人」の解約率は低く、「理性的満足を感じている人(例えば金利だとか数値的な満足)」と「不満を感じている人」の解約率は、ほぼ同じらしい。

だから、Web製作者が、頑張って「これは良いものです」と理性的な満足をアピールするよりは、Web担当者の感情満足に訴えかけていきましょうよ、と。なるほど。


それから、「オーダーメイドに慣れている人はいない」という話も、すげー印象的だった。

例えば服をオーダーする際に、何もない部屋で「どんな服を作りますか」と言われて、パッと答えられる人はあまりいない。
ユニクロみたいなカジュアルなのにしますか、とか例や選択肢があると選べる。。。なるほどなるほど。


あと、「言われたものを作って、言われた通りに修正を繰り返すのは、ただのオペレーターでしかない」というのも片山さん、カッコイイって思った。


その後は、ロジカルかつテクニカルなコミュニケーションについて色々と語られます。
ユーザのことを考えるのも大事だけど、担当者のことも考えていくとコミュニケーションが上手くいくよねって話です。

で、担当者のことばっかり考えてて全体のレベルが下がったらお話にならないので、担当者目線を持って局所最適化からスタートしつつ、段々と全体最適に向かっていきましょうねってフォローも入ってた。流石。
(それ以外の手法とかは僕が解説するよりも公開資料を見る方が理解できそうなので割愛)


んで、最後に片山さんが仕事をしているの心がけを10個挙げて終了。
その10個はこんな感じ。

1.コトバに反応するのではなく、何故その発言に至ったか考えること
2.行動を予測する、どういうリアクションが返ってくるか考えること
3.期待しないこと
4.リスクを減らす努力は怠らないが、何か起きたときの対処は常に考えること 
5.期待値を上げすぎないこと
6.精神的に追い詰められないようにすること
7.自分たちのゴールと担当者のゴールを明確にする
8.どうしたら担当者が出世するか考えてみること
9.コミュニケーションコストを見積もること
10.遠い誰かではなく、今目の前にいる人に何をしてあげたら喜ぶか考えること

本編はコミュニケーションテクニックの話をロジカルにしているのに、「心がけ」は熱い!!
片山さんってクールな感じなのに熱い人だよなーと改めて思うのでした。

ちなみに僕のマトメた「心がけ」との対比が面白いのですが、それについては、このエントリの下の方で書きます。




■俺のターン!

次はフジイの話す番です。
一応、前日に軽くリハしたのですが、笑いがとれたことで調子に乗って、かなり時間オーバーして喋っちゃった。
すみませんでした><

内容は、僕の失敗談というか、発注して残念な感じになった時の話をして、それの傾向と対策を話しました。
制作会社さんの悪口みたいにならないように、「Web屋さんに気をつけてほしいこと」と「Web担当者がこれに気を使えば回避できたのに」みたいな感じで話をしてみたよ。

スライドを作る時間がなかった関係上、図表とか画像とかなしで、文字だらけのスライドになっちって格好悪かったんで、顔文字とか入れまくってみた(笑)


これが後々フジイ メソッドとか呼ばれるように・・・ならねーなwww


PDFで見たい方はこちらからどーぞ(549KB)



とりあえず、参加者の方のうち、僕のブログを読んだことある方の数を確認したら、結構な数の人が読んでくれていて、すげービックリした。つか、嬉しくて死ぬかとオモタよw

※ここらへんでテンション上がりすぎる。


とりあえず、ツカミとして

今日のお題は"ストレスフリーのWebプロジェクト"
これは、前半の片山さんの話を聞いてて、答えは出たと思っています。

つか、もう、片山さんに発注すればストレスフリーってことでいいですよね?

・・・みたいな出だしで行ってみたら、笑いがとれたんだけど、

でも、片山さんの会社は、高そうだからなー(笑)
と、落として、また笑いをとってみたり。

いや、ぼくはWeb担当者視点でのコミュニケーションについて話をしにいったはずだったんだけど、どうも笑いをとりにいってしまった。悪い癖だな。


まあ、それは半分冗談なんだけど、コミュニケーションとか管理コストがバッチリ金額に乗っている制作会社さんには発注したくてもできないWeb担当(つまり僕)が、コミュニケーションと努力で何とか上手くやる(笑)には、どうしたら良いのかってところをお話してきました。

失敗談を並べて、Web屋さんにお願いしたいことと、Web担ができることを整理していく、、、みたいな進め方だったんだけど、Web屋さんが悪口みたいな取り方をして気を悪くしないかヒヤヒヤしながら話をした。

まあ、どちらかというと「あー、あるある」とか「そんなことあんの?」みたいな笑いがとれたので、良かった。
(あ、笑いにこだわっているわけではないです。ちゃんと真面目な話もできますよ><)


で、まとめに僕が気をつけている「Web担当(発注者)16個の心がけ」を紹介。


1. 見積り前に依頼の内容を文章化しておく。
※ちゃんとRFP(提案依頼書)書くことで、ボンヤリしていたものが文章化されてまとまっていきます。

2.発注前にワークフロー全体について説明を受ける。
※「プロジェクトの設計」が意識されているかどうか確認するため。

※ワークフローって言ってるのにスケジュールの話されたら危険かも。

3.見積りに含まれるもの・含まれないものを見切る!
※「同じもの」が見積られることなどない。

※見積書が10枚あれば、それはすべて中身が違う(見積りのためだけに詳細設計フェーズがとれ時は少し違うけど)

4. 「この金額内で何でもやります」など極端な言葉は信用しない。
※相手に期待しすぎない。

5. どういった時に追加コストが発生するのか明確にしておく。
※見積りの金額に入っているのは、ここまでですよね?という確認作業をしておきましょうねって意味です。

6.契約書重要。
※契約書のタイトルを業務委託契約書にするか売買契約書にするかだけでも、代金の意味が「工数の価値」と「納品物の価値」という違いが出る。やってほしいことは大抵は契約書で表現できる。

※契約書関係の業務は結構クリエイティブで楽しい!って話したかったけど時間なくてできなかった。

※契約書の読み合わせをすると理解と覚悟の深さが違うって話をしたら、懇親会でアルファサードの野田さんから「刺さりました」って言われて凄く嬉しかった。

※もちろん、契約書を盾にするとイイことはない。そういう使い方にならないよう注意は必要。

7. 「マイルストーンと決定・承認プロセス」を明確にして共有。
※意外と面倒がられるよ><

※質疑の時間で「管理ツールは?」って聞かれて焦ったw
 今まで導入提案を(こっちから)何度もしてみたけど、いつも断られるw
 片山さんの会社でも「クライアントとはメールベースです」ってのは意外だった。

8.「意外とプロジェクトは管理されていない」と、考えておく。
※任せて投げずっていうか、プロジェクトマネジメントのチェックがWeb担の仕事。

9.製作のプロは、ヒアリングのプロとは限らない。
※発注側が出せる少ない情報で全てを見通せる制作会社なんてない(そんな超能力者いない)

※あー「制作のプロは、コミュニケーションのプロとは限らない」にすればよかった><

※超能力者ではないので、モノは伝えないと伝わらない。人間が人間にモノを伝えるのは本当に難しい。

※相手(制作サイド)に求めるのではなく、発注者側から足りない情報を埋めていく努力が必要、という意味ですが、グループワーク時に「ヒアリングのプロを寄こせって意味ですか?」って聞かれて、あららっと思いました。

10. 「目的を伝えている」と「手段を伝えている」を意識して使い分ける。
※目的にさほど影響しないパーツとか色とか手段を気にしだすと先に進まない。

※逆に目的に影響度の高い手段が軽視されたりすることもあるので、手段は丸々任せるのも微妙。任せられる相手であれば良いけれど。

11.社内調整に必要な時間を読んで、制作サイドに伝える。
※制作側も状況が変わる。時間を読むのに必要な制作側から情報を引き出すことも必要。

※時間を読むだけで伝えてないってWeb担は多そう(もちろん自戒もこめて)

12. 社内調整はWeb担当の重要な仕事。
※社長や上司の一言でひっくり返ったりするのはWeb担の仕事に問題がある・・・仕方ないときもあるけどw

※もちろん目指すゴールのために仕方ないこともあるけれど、社内のことで取引先に迷惑かけるのを当然のように思ったらイカンですよね。

13.理由や説明を求め続けること。
※例えばできないと言われたら「技術的に」「コスト的に」等できない理由を明確にしてもらう。

※そこから素晴らしい代案が生まれることは多い(重要)

14.発注側の発言で何が起きるのか、よく考える。(or 伝える)< /b>
※自分や社長の気軽な発言が、スケジュールやコストに大きく影響することもある。

※そこまで影響するなら別にやらなくてよかったよぅ・・・とかね。

15. 「運用まで考えてもらう」ために伝えるべき事を考える
※制作側に「運用まで考えて作ってよ」って思っているWeb担は多いわけですが、そのために伝えるべき情報が沢山あるのでは。

16. 「言ったじゃないですか」ではなく「ここに書いてあります」 にする。
※発注サイドは発言ドリブン、制作サイドはドキュメントドリブンに陥りがち。

※発言録とか議事録をとると、発言+ドキュメントってことで折り合いつくよ。


これ、もちろん発注者(Web担当者)のために作ったんだけど、残念ながら、、、いや予想通り(笑)、Web担当者は参加者全体の一割くらいしかいなかったんだよね。

(あ、でも Identity Not Found の中の人と( ・∀・)人(・∀・ )Web担ナカーマな感じで盛り上がったよ。ちょっとブログの文章と印象が違った方でビックリした。今度メシでも行きましょうw)

まあWebSigのイベントは制作サイドの人が多くなっちゃうだろうとは思ってたけど。
Web担当が集まるイベントでリベンジしたいな (誰か呼んで><)





■明日から心に抱く格言。

第二部は、グループワーク。
僕と片山さんの「心がけ」を元に、明日から使える「格言」をグループで話し合ったりしてた。

そこを僕と片山さんがウロウロして、話を聞いたり、質問されたりする感じ。
面白かったよー。

片山さんの「どうしたら担当者が出世するか考えてみること」についてテーブル各地で「出世必要かー?」とか「その人が出世するかどうかは、その人の努力じゃね?」とか聞こえてきて、ちょっと笑わせていただいた(笑)

いや、まあ、出世ってのは、あくまで一例で、「プロジェクトの先にある発注者個人の喜びも視野に入れよう」って意味だったはずなんですが、「出世」って言葉のインパクトが強いのかな。
まあ、聞いてくれた人の頭に残るならいいのか。



んで、時間なくて話できなかったんだけど、面白いなーっと思ったことが。

片山さん(制作サイド)が、話す内容はロジカルなテクニックなのに、「気をつけなきゃ」と思っているのは非常に概念的というか『気概』の部分なんですよね。

逆に僕(発注サイド)は、話した内容って、気持ちブチ撒け系な話だったんだけど、上記の通り、気をつけようと思っている「心がけ」は具体的なことだったりする。

多分、ここにお互い「足りていないもの」を「埋める」ヒントがあるんじゃないかな・・・!





■懇親会。

懇親会では、 Identity Not Foundの中の人や、アルファサードの野田さんと色々とお話をした。
ここでは書けないような話も(笑)

ここからはWeb系の話ではないのだけれど、アルファサードの野田さんは、ご自身のブログの中で、会社の経営方針(組織の作り方)について

「拡大指向」ではない

と、いうようなことを度々書かれていて、気になる人(笑)だったので、組織作りの考え方について質問をさせてもらったりした。


拡大せずに成長させる(または社員の入れ替えを最小限のままビジネスを維持し続ける)っていうのは、むしろ拡大路線よりも絶対に難しいことだと僕は考えていて、それについて教えてもらったり。
(気が向いたら、これについて色々と書くかも)




■お金を払っている人の前で話をするということ。

最初は、僕をスピーカーにするという陰謀に 「何いってんの???」 と思ったけれども、70人(くらいだよね?)の前で、色々と話をするってのは、すごいエキサイティングな経験でした。

僕のグダクダ話を聞いてくださったご来場の皆さん、本当にありがとうございます。
懇親会とかで「面白かったです」って言っていただけたのは感動です。

また、このような機会を与えてくださったWebSigモデレーターの皆さん、本当にありがとうございます。


心配なのは、この手のイベントの中では安いとはいえ、お金をいただいているイベントで、僕みたいなシロートの話でよかったのかってこと。。。

僕なりに対価分の価値を提供する努力はしたつもりですけどね。
お客さんはどう思ってたんですかね?
ドキドキ。