ECサイト管理者&制作会社が気をつけておくべき法改正


えーと、Web担当者Forumの編集長、安田さんが書いている編集長ブログに、『ネット通販が原則8日間は返品可になる特商法改正が12月1日施行』って記事が出てまして。


これ、記事の内容は間違いないんだけども、どう見てもタイトルが釣りです、本当に(ry

・・・と、思ったので2009年12月1日施行の「特定商取引に関する法律特商法)」改正について書こうと思います。


まず、冒頭に書いたWeb担の編集長ブログの記事タイトルですが、あくまでも今回の法改正について、消費者庁経済産業省としては『返品の可否・条件・送料の負担』の重要事項3点の明示することや、表示方法のガイドラインを示しているものであって、クーリングオフ的に8日間の返品可能期間を設けることを義務付けるものではないのです。

確かに今回の法改正では『返品の可否・条件・送料の負担』の重要事項3点を購入者にとって容易に認識することができる方法で表示していない場合は、 8日間、送料消費者負担で返品(契約の解除)が可能になっています。【改正特商法第15条の2等】


結果的には同じことなのですが、この法改正の概念は、クーリングオフのように消費者保護のための契約解除を可能にしているのではなく、あくまでも消費者に『返品の可否・条件・送料の負担』などの重要事項を容易に認識することができる方法で表示すべきというものです。


ネット通販が原則8日間は返品可になる特商法改正が12月1日施行』なんてタイトルつけたら、クーリングオフのように契約解除を可能にするための法改正なんだと勘違いされるでしょーが!!



この問題の記事では、本文中でも、

12月1日からは、ネット通販でも購入者は商品到着日から起算して8日を経過するまでの間は、返品できるようになります(送料は購入者が負担)。


・・・と、いう書き方がされています。

Web担 編集長ブログの記事の解釈だと『通販事業者は8日間の返品を受けるのが原則。ただし特約を書くこともできる』みたいに読める。
それは間違ってはいないけれど誤解を生む表現だと思います><

確かに、条文を字面だけ追えばそうかもしれないけれど、経済産業省委託事業 改正特定商取引法・割賦販売法説明会に参加して、消費者庁の人の話を聞いたり、ネットで配布中の経済産業省・消費者庁からの資料を見ると、その概念が見てとれる。

下記は、その経済産業省消費者庁による資料の中の解説。


これまでも、通信販売では広告において返品特約を明記することを義務づけてきましたが、実際には、返品・交換に関するトラブルは多発していました。とはいえ通信販売は訪問販売と違って不意打ちの勧誘等を受けるものではなく、消費者の購入の自主性が尊重されていることから、クーリング・オフ規定を導入することは適切ではありません。

上記の解説からも、Web担 編集長ブログに書かれているような『通販事業者は8日間の返品を受けるのが原則。ただし特約を書くこともできる』というクーリングオフ的な義務づけをするものではなく、『返品の可否・条件・送料の負担などの重要事項を容易に認識することができる表示をすべき』というものなのだと思います。


非常に恐ろしいのは、「クーリングオフ制度」のような勘違いが広がることです。
状況にもよりますが、基本的には店頭販売や通信販売は「クーリングオフ制度」の対象外(クーリングオフできない)なのですが、一般消費者の中には「クーリングオフ」と言えば何でも返品できるのが当たり前だという認識を持っている方も少なくありません。

ぜひメディアの方やブロガーの皆様におかれましては、この法改正を解説する時は、『返品の可否・条件・送料の負担などの重要事項を容易に認識することができる表示を義務づける』ものであり、容易に認識できる表示を怠っていた場合、通販事業者は8日間の返品を受付する義務があるというように解釈をしていただきたいと思います。


結果的に、どちらの解釈でも、消費者に対しての保護範囲も、通販事業者の義務も変わりはないのですが、上記にありますクーリングオフ制度のような勘違いする人が出ないように改正の内容を伝えていってほしいのですよね。

(っていうか、法律の条文自体も、概念にそった書き方しろよな!省庁のガイドラインとか解説を見ないと概念が理解できないような条文作るなー!)



ちなみに、購入手続き(カート)の最終画面と、ご利用ガイド関係、場合によっては商品ページやカート内の確認画面あたりに手を入れないといけないサイトが多そう。12月1日から施行ですので、改修はお早めに・・・!

経済産業省消費者庁による資料で、詳細に画面上にどのように表示すべきかのガイドラインがまとめられているので確認すると良いと思います。「PCであれば、12pt以上」とか書いてある部分とかあるんだよね、指定が細かすぎだwww 



※このエントリは経済産業省委託事業 改正特定商取引法・割賦販売法説明会に参加して、得た知識を元に書いています。多分、間違ってはいないと思うのですが、本エントリの法律解釈としての有効性を保証はできかねますです。ご不明な点は経済産業庁に確認をとってください。





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■メール広告(メルマガ等)の配信についても改正(?)が。

今回の法改正の中で、去年の12月に施行済みの「迷惑メール防止法」とほぼ同じ内容が特定商取引法にも追加されました。同じ内容なら片方で良いような気がするのですが、なんでそういうことするの わかりません><

さて、改めて解説を見ていて思ったのですが、ECサイトのシステムとかメルマガ配信システムを作っている皆様。

オプトイン(メール広告が配信されることの承諾をもらっていない限り配信してはいけない)にばかり注目しているのではないですか?

実は、メール配信を承諾した記録を「最後に電子メール広告を送信した日から3年間」は承諾の記録の保存が必要になるんですけど、そういうシステムになっていますか?

つまり、システム的な話をすれば、送信承諾フラグだけじゃダメってこと。
配信停止後も3年間はデータ保管義務があるとのことなので、少なくとも「送信承諾フラグ」 「承諾年月日」 「拒否年月日」くらいは持ってないとダメってことじゃん?(日付で確認して配信するならフラグなしでもいいけど)

配信を受けていたユーザが配信停止を希望した場合でも、「承諾した年月日」と「配信を拒否した年月日」を両方保管しておかないと、法律の要件は満たしてないんだな。

意外と、放置しているWeb屋さん多いんじゃないかな。




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■Web屋さんは仕事とってくればいいと思う。

あ!!今回の法改正に対応するためには商品ページと購入最終画面、メール配信システムあたりは修正が必要なサイトが無茶苦茶いっぱいあるはずだよね・・・!

「法改正に対応します」って営業するのもいいんじゃないかな。

細かな仕事だから、儲かるかどうかは知らないけどさwww