お客様を超える


んー、自分の中では、それほど自分の中でも整理できていないことだけれども、ちょいとメモ的に書きます。



WebサービスでもECサイトでも、店舗でも、何かにつけて言えることですけども、何か施策を考える際に、お客様が認知しているレベルを超えた設計って必要だと思うですよ。

例えば、「お客様から店員が声をかけてくるのがウザいから、ゆっくり見られない」という要望が多かったから、店員からの声がけを止めてみたり「いらっしゃいませの声がうるさいという要望が多かったので店員の声のトーンを下げてみた」というようなシチュエーションで「お客様の要望が多かったのに、その通りにしたら売上げが下がった」みたいなことがあるわけですよ(あくまで例え話ですので、実例ではありません)

僕は、そういうことがあると『お客様の認知を超えていない』と思うわけですが。


ちなみに認知について話すときは、ジョハリの窓を説明に使うことが多い。
ジョハリの窓っていうのは、自分の認知を4つの窓で分類したコミュニケーションの分析モデル。

自分も知っていて他人も知っている「公開」(open self)
自分は気づいていないが、他人には見られている「盲点」(blind self)
自分は知っているが、他人は知らない「隠蔽」 (hidden self)
自分も他人も知らない「未知 」(unknown self)

・・・って感じに、物事の認知を4種類に分解したものです。



これをサービス提供者とお客様の関係に置き換えてみますです。

[a]. サービス提供側とお客様の双方が認知していること
[b]. サービス提供側は気づいていないが、お客様は気づいていること
[c]. サービス提供側は認知しているが、お客様が認知していないこと
[d]. サービス提供側もお客様も双方が気づいていないこと


普通、サービス提供側の人は[b]にあたる「自分達は気づいていないが、お客様は気づいていること」を減らしたいと思っているものですよね。
自分たちが気づいていないことで、お客様が不快に思っていることを改善するために知りたい(悪いところを知りたい)でしょうし、自分達の気づいていないところでお客様が喜んでいることも知りたいはずです(自分たちが認知できていない強みを知りたい)

それが故に、サービス提供側は、お客様の声に過剰反応してしまうことがあるわけです。



冒頭では「店員が声をかけてくるのがウザい」とか「いらっしゃいませの声がうるさい」と感じるお客様が多いという例を出しました。

「ウザい、うるさい」と感じられてることを、「既に店側も認知している」こともあれば「店側は認知していない(苦情によって気づいた)」ということもあると思いますが、ここで重要なのは認知に至るまでではなく、[c]にあたる「その問題に対して、サービス提供者だけが認知できて、お客様の立場では気づくことができないこと」がないのかどうかってこと。


お客様視点だけではなく、[c]の「サービス提供側は認知しているが、お客様が認知していないこと」を探してみると、「店員が声をかけてくるのがウザい」と思う方もいらっしゃるが、これにより適切にお客様に商品紹介ができていることも多く、これを止めてしまうと、商品をうまく選ぶことができないお客様が増えることがわかった・・・とか

「いらっしゃいませの声がうるさい」に対して「サービス提供側は認知しているが、お客様が認知していないこと」を探してみると、店が活気づいて(お客様は無意識・無自覚だけれども)楽しく買い物ができる雰囲気ができている・・・とか。

・・・あくまで例えだから、ちょっと都合の良い例を出しすぎたかなw


まあ、お客様の認識できることだけ追っていると失敗することだけは間違いないと思う。



お客様の認知できていることと、無意識・無自覚に良さを感じられている事をバランスさせないといけない。

「自分が何故ここで買うのか」とか「ついつい利用してしまう理由」を認識・自覚できている人なんて、ほぼいないし、そういう認知がないから、お客様は苦情をおっしゃるわけですよ。

(余談ですが、僕は、お客様は自分の感じたことをを「言う」権利があると思うので、サービス提供側の都合など考えずに何でも言うことは当然だと思っています)



冒頭の「店員が声をかけてくるのがウザい」とか「いらっしゃいませの声がうるさい」という例で言えば、店側は脊髄反射的にご案内やご挨拶を止めるのではなく、まずは、どの程度の割合の人がそう感じるのかを考えるべき。
その上で、不快に感じるお客様の割合が低かった場合でも「少ないけれども、そう感じる方もいらっしゃる」と社員に配慮させるレベルでは対策すべきだし、逆に不快に感じる方の割合が多くてオペレーションを変化させなくてはならない場合でも、今まであった(お客様の)メリットを殺さないような工夫をしなくてはならないわけですよ。



サービス提供側は、お客様の言うことを鵜呑みにするのでもなく、サービス提供側の都合で押し切るのでもなく、お客様が無意識・無自覚に良さを感じて「ついつい使ってしまう」サービスやお店になるための工夫をしていかないといけないんですよね。

そのためには、発生している問題の「認識」を複数方向から見てみるってクセをつけていかないといけないですな。