「伝わるメール」の書き方(タイトルに偽りあり)

お客様対応窓口の責任者もやっているフジイでーす。< /p>

話がこじれて誤解されちゃってるとか、お客様がすげー怒ってる時とかで、メール対応しなきゃいけないときってありますよね!

僕んとこの職場では、対応チームのリーダーがメール書くんだけど「フジイさん、ちょっとメール見てくれませんかー」って言われて僕がメールを添削することがあります。(もちろんメール以外の連絡方法を選択することもあるけど、メール対応しなきゃいけないときってことね)

そういったときに、対応業務をしているチームリーダーに僕から色々とアドバイスをしたりするのですが、そこでどんなことしているのか整理してブログに書いてみます。

ちなみにこのエントリを書くにあたって、色々なところ(謎)で「伝わるメール」とか「文章でのコミュニケーション」とか、そのテの話題をみかけたのに触発されて書いています。
顧客対応メールじゃなくても(そもそもメールじゃなくても)本質は同じだと思うので、適宜よみかえてくださいませませ。

いちおう書いておくと、このエントリ長いですよ。

内容に反して「伝わるように書く」とか「読む人への気づかい」とか考えていない書きなぐりエントリですがご容赦をw

自分の行動プロセスの分解とか認知とか。

文章書きのプロでもない僕ごときに添削されちゃうようなメールは、たいてい根本的な『認知』の時点で問題があるのが殆どで、「5W1Hを書く」とかそういう表現では何の解決にもならないことが多い。文章作成技術の問題じゃないおすし。

『認知』っていっても、お客様から来たメール内容の認知っていう狭い意味じゃなくって、自分がメールを読んで、それに返信するまでのプロセスや思考を分解したりだとか、そういうことができてないって意味ね。
(表面的な技術論では解決しない例として取り上げただけで5W1Hで書くことが無意味ということではない)

表現と内容を分離させろ

明日のためそのいち。
「表現」と「内容」を分離させて打つべし打つべし打つべし。

もうなんていうかね、HTMLとCSSファイルを分離させろみたいな。
ビューとロジックはわけて書けみたいな。

文章作成のプロならともかく、普通の人には「表現」と「内容」を同時並行に考えるなんてできるものではないのです。
これやるだけでメール対応が格段にレベルアップしますのでお試しあれ。

いままで数十人かのメール書きの人たちを見てきた経験上からいえば、「表現」と「内容」を同時進行で考えながら書いてると、ちょっと迷って書き進められなくなったとき自分が何に迷っているのかわからなくなってることが多い。多いっつーか、まあ10人中9人がその状態に陥ってる。

書いてるうちに伝えたい内容と違う文章になっちゃった、なんて間違は、これで問題解決できるわけですよ。

何年か前まで、僕も彼らが何を迷っているのかわからなかったんですけど、スタッフが悩みながらメール書いてる時に「どんな内容のメール書いてるの?」って訊いたら「考えながら書いてます」とか答えられたことがあって、やっと問題に気づきました。
自分が何を書けばいいのか分からないのに文章を書いてるんだなって。

さらに色々と問題を洗い出してみると、いま自分が悩んでいるのは「内容」で悩んでいるのか「表現」で悩んでいるのかすら分かっていなかったりする。そりゃダメだ、日本語のじゃなくてマークアップ言語かMVCモデルの勉強からやりなおせ(冗談ですよ)

プロとか超絶センスが磨かれている人とかは、思考スピードがマジ半端ないので、書きながら考えたり、考えながら書いたりできますけど、普通の人にはできない。
普通の人はプロの真似しちゃだめ。
「表現」は書きながら整えた方がいいけど、「内容」は書きながら決めるなんて普通の人にはできないですから。

具体的なやり方で言うと、まず骨格となる「内容だけ」を決めて箇条書きにする。つまりプロットですな。「表現」は後から肉付けしていきます。

つまり、こうゆうこと。

「内容」 + 「表現」= 「文章」

例えば

(1)ご返品は承れません
(2)不良品ではない上、使用済みだったため

・・・という書くべき「内容」があったとします。この内容をまんま送るやつはいないと思います。あ、うそ。たまにいますね。ウチの会社にはいないけど、たまにこういうの送ってくる会社とかあって爆発しろとか思います心の中で。

話を戻しますが、この例で言えば、「表現」を肉付けする時には、ご要望にそえないことについてのお詫びや、なぜ不良品でないと判断されたのかなどの説明を丁寧にしていく必要があります。

ここで重要なのは「表現だけ」を変えていくということです。

新しい「内容」を足したり、「内容」を変えたりしたらダメぜったい。

これがまた、実際にやらせてみると、ビックリするくらいできないんだ。

どうもクセで「表現」を分離して「内容だけ」に絞って考えるのができないし、逆に「表現」を足していく作業の中で「内容」を足したり変えたりしはじめる。

とはいえ、何回かやればコツをつかめるから、やってればできるようになるけどね。

まあ、普通に生きててコミュニケーションの「内容と表現の分離をしてみよう」とか思うのはコミュニケーションマニアっつーか、変態的だもんなあ。まあ、これであなたも変態の仲間入りですよぐへへ。

引き算で読み取れ

実は、「内容」を考える以前のハナシとして、お客様の言っていることを理解できていないことも多いです><

相手の言っていることを理解できてなければメールの書き方とか一億五千六百回くらい書き直してもダメなメールしか送れませんよね。

「書きかた」より「読み方」について後に書いているのは、これは「内容」に「表現」を足して「メール」にするという前提がないと理解が難しいから。

「メール」-「表現」 = 「内容」

そう、メールから「表現」を引いて「内容」・・・つまり、お客様が伝えたいことを洗い出すようにしないといけません。

お客様からのメールには表現として感情や要求、要望などが書かれています。
そういった表現をマイナスして内容を探しだすのは、ちょっとセンスや経験が必要なところもありますが、お客様のメールに書かれた要求や要望は、すべて「表現」でしかなく、「内容」ではないという前提で見るようにしながら経験を積んでいけば短期間でできるようになると思います。

簡単な例を挙げます。(対応の現場だと、こんなわかりやすいメールは少ないけど)

1年前にそちらで購入しました○○という製品なのですが、取っ手の部分が壊れてしまいました。
ものすごく気にいっていたので、とても残念です。
同じ商品を購入しますので、納期と価格を教えてください。

こんな風にお客様のご要望がわかりやすいメールでも、本当に納期と価格だけ返信する人が多いわけですよ。本当の意図が伝わらないこんな世の中じゃポイズン。

引き算したら、こんな感じでしょうか。

(1)この製品は壊れてしまった。
(2)再購入したいほど気にいっている
修理が効くかもしれないし、保証期間内かもしれないですよね。
さらに言えば修理ができるとしても新品が欲しいのかもしれないですよね。

そもそも「伝わるメール」って考えが傲慢じゃね?

実はこれが一番大切かつ、そもそもの足し算とか引き算とか以前の大前提なのであります。書く順番が逆なのは、下流工程から遡った方が理解しやすいのではと思ったからであってオチとして使おうと思ったわけじゃないないないないない(残響音含む)

今は(少し)丸くなった僕ですが、30歳超えるまでは重度の人間嫌い病だった後遺症で、コミュニケーションには一歩ひいたところがありまして。基本的にメールだろうが口頭だろうが、伝えたいことがちゃんと伝わるかなんて自分で何とかできるものではないと思っているのであります。

そもそも「伝わる」なんてさ、相手の理解度を自分がコントロールできると思ってるから、そんな言葉が出てくるんじゃないの?それって傲慢じゃね

せいぜい相手が理解しやすいように伝え方を変えるくらいじゃ「伝わるかどうかは相手次第」なんだよ、コミュニケーションなんて常にそう。『伝わるメール』なんてなくて、「相手が理解しやすいように気づかいをしたメール」程度しかありえない。

伝える側が相手の理解度をコントロールするなんてできっこない。

店のミスに対してのクレームとか特にそう。
その店を許すかとか、また使うかどうかとかは「全てお客様が選ぶこと」であって、「店が選べること」はミスを心からお詫びすること、丁寧に説明責任を果すこと、発生した損害を賠償すること。

店側が「許してもらう」とか「また使ってもらう」みたいな相手の決めることをゴール設定してる(つまり相手を自分が動かすと思っている)のは傲慢だし誠意がないって話だよ。

そういったときに必要なのは「お客様が状況把握をしやすくなるような情報提供」と「ミスに対して誠意あるお詫び」などであって、こちらの誠意が伝わるかどうかの「お客様が選ぶこと」を自分たちでコントロールしたいなんて思うもんじゃあない。

(伝わらなくても良いという話ではないから注意!!)

1回のメールでモノゴトを収束しようとするのだって同じ。

やりとりの回数も相手(場合によっては自分の無自覚)に依存するんだから、自分でコントロールできるところではない。

管理職の僕としては、そもそも伝わらない前提にたって、やりとりが長期化するとか、勘違いしたまま平行線になったらどうするかとか、そういうことを考える方が重要だと思ってます。(もちろん相手のことを考える姿勢をもった上で、ね)

『相手の視点になる』なんて絶対に無理って考えた方がいい。『相手を気遣う』はできる(かもしれない)けど。

人類補完計画でも発動したら伝わるようになるかもしれないけどさw