モバツイの作者えふしんさん主宰の「利用規約ナイト」というイベントに参加してきました。
利用規約ナイトとは、社内に法務担当者がいないWebサービスやアプリを提供するスタートアップベンチャーの誰もが悩む利用規約について、知識共有、勉強するためのイベントです。
普段、「規約とかポリシーとか大好き!ついつい読んじゃいますよねー」って言うと気持ち悪がられるけど、きっと利用規約ナイトなら同士がいるはずと思って超テンション高く行ってきました!(←我ながらキモイなw)
最初は「よくある基本的な注意点セミナーとかだったら面白くないけど、そんなもんかもなあ」って、あまり期待してなかった(失礼!ホントごめんなさい)のですが、僕が想像していた以上。
「本には書かれていない使えるTIPS」と「本にもwebにも書けないオフレコな事例」とか、そんな内容でした。
ざざっとまとめるとこんな感じ。
(下記は登壇された方の話だけではなく僕の私見も入っていますので注意)
■webビジネスやるなら商標、景品表示法、資金決済法あたりを考慮しましょう。
■利用規約は著作物ではないので、安心してパクって良いw
某社で社名の置換忘れが本当にあったりしたので超注意せよwww
■明示的に規約の同意をとった方がいいという話だった。
でも僕としては騙しだとユーザーが感じないような表示を心がければ、電子商取引及び情報財取引等に関する準則改訂の『必ずしもサイト利用規約への同意クリックを要求する仕組みまでなくても、購入ボタンのクリック等により取引の申込みが行われることをもって、サイト利用規約の条件に従って取引を行う意思を認めることができる』が基準になると思ってて、法務マンサバイバルの人もこれは同意してくださっていた。
■RMTとかCtoCについては、まだまだ難しいところがある。
(ここで言うCtoCってのは、ガムロードとかアメロードみたいなサービスのことね。これまでのサービスと比べて資金決済法上どう扱うべきか定まってない)
■消費者契約法があるので「一切の責を負わない」は無効になることが多い
(あくまで争いになったときに無効なだけだから書いておくのが基本)。
責任を負う場面を想定して上限を定めておくのも有効。
上限の定め方はサービスによるけど「月額利用料 or 累積利用料 を限度とする」あたりが落としどころっぽい。
■「~おそれがあると当社が判断する行為」や「その他当社が不適切と判断する行為」は割と使えるので入れておいた方が良いとのこと。
■投稿の権利帰属は、ユーザーのものにしておかないと炎上しやすい。ユーザーの権利としたまま使用許諾を運営側が受けておく形が最近は一般的。
書籍とか広告とかへの利用しか想定していないと、想定してなかった提携話が来たときに対応できないので、許諾範囲が広めになるようにしておくと良いらしいが、何でも使えるだと嫌われそうだから難しいね。
■海外展開するサービスでは、準拠法は日本法、管轄裁判所も地元とする。準拠法選択をちゃんと書いておくことには意味がある。
また日本語版が正で、他言語は翻訳版でしかないとしておくのは有効。
■事業譲渡時の個人情報データの受け渡しについては解釈が色々あってグレー。
実務的には個人情報を提供しているユーザーに対して告知・通知などでトラブルが起きないように対応するしかないだろうね。
もっと詳しく知りたい方はtogetterをどぞ。
http://togetter.com/li/266740
具体的な社名とか事例についてもガンガン話が出たのですが、オフレコで書けないのがとてもとても残念ですw
僕がこの手の話でいつも気になるのは、弁護士や法務部門の方は、規約というものは絶対的なルールや法律的なものというよりも「トラブルになったときの解決材料のひとつ」程度に捉えていて、なかなか普通はそう捉えられていないんだなってこと。
上記の「消費者契約法に反していて無効にされるけども書いておいた方がいい条項」がわかりやすい例だけど、そういう風に捉えられるようになっておくことが大切だと思うんだよね。
利用規約 大好きっこの僕に「なんで法務の仕事してるわけでもないのに?」って質問をいただくことが多いので、それに答えたツイートを貼っておきます。
僕が利用規約とかに強い興味と関心があるのは、企業がお客様とコミュニケーションをとるときの骨組みとして捉えているから。規約って、ただ法へ対応するためだけじゃないからね。企業がお客様にどういう方針をもってサービスを提供するかの軸だから。 #利用規約
-- フジイユウジ (@fujii_yuji) 3月 2, 2012
おまけ:
法務業界紙のBUSINESS LAW JOURNAL(ビジネスロー・ジャーナル)が規約とか広告関係の特集をやってることがあるらしいので面白そう。バックナンバーを漁ってみようかと思いまふ。