レビューしたら3000円くれる飲食店があったんだけど、情報の重み付けって本当に難しい。

今日、食事をした店のメニューに堂々と「食べログに料理写真10枚以上、300文字以上のレビューを投稿したら3000円分の金券を送ります」と書いてあって目を疑った。

実際にその店で食事をした人にレビューをうながしているので、お店の人からしたらステマにあたるという認識ではないのだろう。対価を支払ってレビューを依頼しているんだけど。

はたまた、ステマではないけれど、以前にモール的なECサイトで買い物をした際に「ショップを5点満点の星で評価してください」というのがあった。星5つが「最高」で星3つは「普通」と書いてあった。

まあ、トラブルもなく買い物できたから普通かな…と思って星3つをつけたところ、出店者から「どうして5点ではないのか、何が不満なのか」という問い合わせのメールが何度か来た。
内容的には星5つじゃないなら、何か不満があったのではないかという感じで。

これはある程度仕方なくて「星3つが普通と書いてあるから3つ」と「よほどクソじゃなければ5つ星が普通」という異なる評価軸が混ざってしまうものだと思うけど、ショップからは必死さが伝わってきた。

そのモールは楽天ではないしメルカリみたいなCtoCでもないけど、5つ星を集めないとその後の売上に関わるんだろう。評価の仕組み上で仕方ないんだろうけれど……と微妙な気持ちになりつつ僕は5つ星につけなおした。

インターネット上の情報サービスは、「評価」がサービスの重要な核となっていることが多い。

Googleは世界で一番大量情報に優先順位をつけることに特化した企業だと思うけど、人間が検索した言葉に対してできるだけ適切に「必要とされているであろう情報」に重み付けをして並べている。

飲食店やECサイトの場合は、Webページの重み付けみたいにインターネット上にある要素だけではお店を探している人の意図を満たすことができないから、必然的に利用者からのフィードバックをもとに重み付けをすることになる。

食べログの場合は、単なる「集まった点数を積み上げてからの平均」ではなく新規ユーザーなどの評価を下げるなど「ユーザーの信頼度と評価でバランスさせる加重平均」をとっていることを売りにしていて、なるほど考えているんだなあと思う反面、飲食店側からは一部のユーザーの評価で結果が出やすいのはおかしいとか、美味しいという評価が一部のユーザーに偏るのはおかしいなんて話も出ていて難しいものです。
(ここらへんのアンチ食べログ勢も色々と香ばしいところがあるのですが、それは別の話なので今回は置いておきます)

冒頭に書いたような飲食店の場合は、お金を払って良い評価の数が増えやすくしている(悪い評価をする人は、次回の食事代が無料になるかどうかに無関係だから、3000円もらえることがキッカケで評価した場合は当然に良い評価に偏る)。

レビューを促進することはお店側からは合理的な努力に見えるかもれないけど、お金を払って他の店舗よりも高評価を受けやすい操作をしているわけだよね。
実際に3000円のもらってレビューを書いている人がどのくらいいるのかは分からないけど、それなりにはいそうな雰囲気はあった。

飲食やECモールの場合は、お店を使ったことがある人のフィードバック(レビュー)以外での評価だと、キュレーターからのリコメンドによる評価軸だとかもあるにはあるけれど、やはり2016年末現在では多くのお店に重み付けをするのだとしたらフィードバックを基にした評価軸に落ち着くは仕方がない。

以前もそんなようなことを書いたけれど、これは人工知能や大規模データの分散処理が発達して現在とは違う評価軸での計算が可能になったとしても、基になる情報がなかったり、方向性を誤っていたら検索者が欲しているような重み付けをした情報にすることはできないし。

冒頭の飲食店にしてみたら悪意はないんだと思う。
レビューがお店の売上に影響するから良いレビューが集まるように投稿を促したということなんだろうけど、評価の重み付けは操作されたものになってしまう。

あ、このお店の話に限れば是非を問うほどの操作では無いようにも思うし、それを叩きたいわけではないです。
評価とか重み付けって難しいなあという話をしたいだけ。

そういえば今年の3月にInstagram有名人の「Googleは使わない、SEO対策されているから」という発言が一部で話題になりましたね。SNSに投稿されている情報は(仮にそれが操作されていないとしたら)単に未加工な情報であるわけで、プラットフォーマーが汎用的な評価軸で重み付けしたものを嫌うのであれば、今度は写真などから得られる情報を自分の感性で評価する必要が出てくるだけでしかなくてそれがプラットフォーマーの汎用的な評価軸より優れているかどうかはその時々によるだろう(あながち間違ってもいないけど、評価軸が違うというだけの話かと)。

結局のところ、何かを評価するのに完全な方法というのは今のところ発明されていないってだけの話でしかないけど、利用したことがある人のフィードバックが力を持っちゃったから冒頭のようなことが起きちゃうんですよね。
楽天にも一時期「レビュー書いてくれるなら送料無料」みたいな店が増えたけど、同じ構造。

僕から特に何か「こうあるべき」ということが言えるわけじゃないんだけど、Gooogleみたいに世界最高峰レベルで重み付けが高度化されるのを待つか、評価軸が異なる複数のサービスから自分に合ったものを選べるようにでもならないと解決しないんだよね。そもそも解決するようなタイプの問題じゃないか。

オチは特にない。すまんぬ。