「課題解決」するなら思考する順番を意識したいよね、の話。

今日は「課題解決」をするためには思考する順番を意識することが大切だよねという話を書きます。

例として開発を例えに出していますが、他の仕事でもプライベートでもありとあらゆる場面で使えるんじゃないかなと思います。

「◯◯のように改善してください」

チームメンバーからプロダクトの機能追加や改修を依頼されるときに「具体的な機能として修正内容を伝えられる」ことがあります。

「なぜその機能が必要だと考えたのか」とヒアリングしてみると、困っている事があって解決したいからだということが出てくる。さらに、どんな課題であるのか、その背景にはどんな前提条件があるのか……と深掘りしていくと、実は当初言っていた「◯◯のように機能改修」を実施しても表面的な部分しか解決できず、本来解決したかった問題が悪化したり、それどころか別の課題をも増やすということがわかる……こういうの、珍しいことではなく、この手の仕事しているとよくある話なのですね。

 

ここではプロダクトの改善を例に出していますが、「これをしたい、と考えた解決方法が実は課題解決になっていない」みたいな事は、どんな仕事でもプライベートでもよくある話なのですが、何故そうなるのかをもう少し考えてみます。

 

「解くべき課題」と「解決策」

使い古された話ですが、量産型自動車を生み出したヘンリー・フォードが言ったとされる「もし私が何が欲しいかを聞いていたら、人々は『もっと速い馬』と答えただろう」という有名な言葉があります。

「速い馬を探してこよう」と解決策から始めることもできますが、「より速く移動したいという欲求があるのだな」と課題を整理することで馬ではない別の解決策は出しやすくなりますよね。

でも、課題を整理するのは得意ではない人の方が多いというか、ヒトの自然な思考としては整理できないのが普通です(それを避けるための工夫はこの記事の後半でてきます)。

ぼく自身も、そもそもいま自分が「解くべき課題」を語っているのか「解決策」を提示しているのかも区別がつかなくなることはありますし。

「現場を知っている人がこうしたら良いと言うのだから」と仲間を助けるのが好きな頑張り屋のメンバーが"言われた通りの解決策"を実行して、解きたい課題は解決されず課題の複雑さは増していく……というように登場人物が全て善良なのに上手くいかないみたいな結果が割と起きやすかったりします。ニンゲンって悲しい生き物ですね(何)

 

「解決策」からはじめるのと何が違うのか。

先日たまたま若い人と話してるときに「実現したい機能を先に書いて、その機能がなぜ必要か書けば『解くべき課題』を整理したことになりませんか」と聞かれたのですね。

ぼくは、それに対しても「できるだけ解決策からではなく『解くべき課題』をまず先に整理してみましょうか」と言いました。

「実行したい解決策に対して、実施理由として解決できる課題を書く」と「解くべき課題に対して、どんな解決策があるかを書く」だと、書く順番が違うだけではなくて、そもそもやっていることが違うのです。


「実行したい解決策に対して、理由として解決できる課題を書く」と
解決先か先になると課題に対してベストな方法かどうか検討がしづらくなります。解決策ありきになるので。
また何よりも「自分は何故この解決策を実施したいのか」という課題が後付けの理由として出てくるのが一番の問題で、そこに出てくるのは解決したかったことではなく実施するための理由になってしまってズレが大きくなりがちでもあります。

「解くべき課題に対して、どんな解決策があるかを書く」と
課題に対しての解決策を複数出して比較することができます。やることありきではなく、課題に対してベストな方法をその中から見つけられますし、課題が後付けになってゴール(課題解決)がズレることもありません。

 

高度に発達した解決策は、課題整理をしているようには見えない。

移動手段が馬の時代に「量産型自動車」を生み出す。ガラケーの時代に「iPhone」を生み出す。

そのような高度な解決策(イノベーション)は、課題の整理なんかスッ飛ばして解決策(製品)をまず出しているようにしか見えません。天才がいきなり何かビビッと思いついて生み出されているように感じられます。

でも、それって天才は普段から世界を観察した情報を大量に持っていて、脳内で直感的に結びつけるスピードがあるって話だと思うのですね。

いきなり閃いてるように見えるだけで、実際は重要な課題を発見して脳内で整理するというプロセスを経て解決策を出しているのではないでしょか。

そのせいで一般人には「課題整理せずにいきなり解決策を閃いているように見えている」んだと思うのですよね。たぶん。ぼくは天才じゃないから想像ですけども。

 

解決したいことが上手くいかずに迷いの森を彷徨わないように、普段から「解くべき課題を整理してから考える」という思考のクセをつけておきたいものですよね、という話でした。おわり。

 

 

(雑記)
このブログは今月は毎日更新をすると宣言をしておりまして、本日は24時を2時間くらい超えて遅刻です。

ツイートやブックマークコメントなどで感想をいただけると書く力が湧いてきて遅刻もなくなると思います(本当か?)。ぜひ、短くても良いので読んだ感想をいただけたら嬉しいです。さすがに22記事も書いてエネルギーが不足しておりますので、みなさまの応援をぜひお願いします……2時間遅刻かあ…