先日、探索的に経験を積む必要があるときに「この施策の目的とKPIは?」という問い掛けによって経験が積めなくなるというブログを書きました。
それなりに(ぼくのブログにしては)多くの人に届いて、読んでいただけたようです。
今日は、もう少しユルい感じで『素朴な直感から出る「正しいっぽいこと」に逃げると観測指標をゴールにしてしまうから、気をつけようね』という話を書きます。
「文字数」とか
ぼくは、この個人ブログ「フジイユウジ::ドットネット」も書くし、メディアの編集長もやっているし、事業屋としてプロダクトや関わる事業の情報発信をすることもあります。
記事を書いてもらったり、情報発信の仕事をしている中で、素朴な直感というか「なんとなくそれっぽい」という理由でよく考えずに数値を扱うのって危ないなーと感じる指標や数値があります。そのうちのひとつが「文字数」です。
仕事で「一記事あたりの文字数は何文字くらいですか?」とか「今回◯◯文字です」と言われることがある。ある程度の作業量の目安にはなるから、発注・受注という関係ならばお互いの目線合わせや管理上では便利なものではある。
でも、作業量とか作業管理の文脈ではないときも字数を重視している人がたまにいるんですよね。文字数が品質や価値を担保するかのように言う人が。
これを読んでいる読者は「そんなわけない」と思うかもしれないんですが、実は長い文章のほうが価値があると思っている人がいるんですね。いるんですよ。
「このテーマなら、◯文字ぐらいの情報量がないと読者に価値が届かない」とかなら、まだギリギリわかるんですが、品質だとか情報価値の文脈で話すならば、それが何文字かは補助的な数値でしかなく、それほど重要ではなくなるはずです。
だから、できるだけ「先にどんな内容なら読者に届けたい情報価値になるか考えて、そのあとに作業工数としての文字数の話しましょうか」と分けて話すようにしています。
「読了(スクロール)率」とか「直帰率」とかとか
同様に「読了(スクロール)率」とか「直帰率」の使われ方も気になります。
見る意味ないと言っているのではないです。ユーザー行動を測定することで、そこから見いだせる物事があるので、測定はしよう。
でも、スクロール率や直帰率は、そのコンテンツの品質を示す指標じゃないです。
ユーザーは上から下に読んでいる人もいるけど、実は見出しとか太字とか重要そうな場所をつまみ食いして斜め読みするような行動をしていることも多く、そのユーザー行動のなかで「読了しなくても価値を得られる」場合も多いのです。
と、ぼくがアレコレ言うよりも、専門家が書いてる記事を紹介する方が良いかもしれない。株式会社真摯のいちしま先生が書いたこれに答えが書いてあるので、リンク先を記事をスクロール率100%にしてきてください。
KPIを設けるのであれば、コンテンツ末尾到達率ではなく「閲覧後の期待するアクションをどれだけ誘発できたか」を軸にまずは考えるべきです。
読んできましたか?読んできましたね?
「30%のスクロール率で離脱していても、その記事には価値がある"かもしれない"」といった考え方は、その情報(ページ)の価値をどう評価にするあたって重要な視点だとわかりましたね?
読者がつまらんと感じただとか、読み疲れて離脱して価値を得られなかったから30%で離脱した場合もあるでしょうけど、スクロール率でページの情報価値を測るのは良くないと思うのです。
Webページにおける情報価値は「面白いから最後まで読んだ」だけではないからです。
途中で離脱していても「自分としては知りたい情報を得た」という価値を得て離脱しているかもしれないし、「もっと読みたい次の記事へのリンクをクリックした」というのもユーザー価値かもしれない。斜め読みだけしていても「ひとこと言いたい」という感情が湧けば価値かもしれないし、「新しい発見」とか「知らないことを知った」があれば良い場合だってある。
最後まで夢中で読む情報が価値が高いという考え方にこだわっていると、現実的なWebやアプリの分析ができなくなってしまうことも多い。
(真摯いちしまさんの記事にも「KPIにおいてもよい場合がある」と書かれている通り、絶対にKPIにしてはいけないという話ではなく、読了したら価値があるという考え方で良いかどうかを検討する必要がある)
良いことかどうかは置いておいて、「記事をちゃんと読まずにコメントしたのか?」と感じる『感想』がSNSにポストされるとき、おそらくそういったWebの一般的なユーザー行動をしているのではないかと思われます。そのユーザーに「ひとこと言いたくなる」くらいには何かが届いたのでしょう。
(※ひとこと言われるコンテンツには価値があると言いたいわけでも、それが良いことだと言いたいわけではなく、読了しなくてもユーザー行動喚起になっている例として書いています)
「いやいや、私はちゃんと読んでますよ」と思った方もいるでしょうが、多くのユーザーは情報を探索的につまみ食い行動をしていることも多いのです。斜め読み・飛ばし読みといったことを自分では自覚せずにやっている可能性があると思います。
素朴な直感に反することは多い。
この記事で言いたいのは、文字数とかスクロール率、直帰率を正しく使いましょうという話ではなくて。
「どのくらいの文字数の記事を並べるんだっけ」とか「読了(スクロール)率がー」とか「離脱率が」みたいな話になったとき、いちど立ち止まったほうがいいんじゃないですかねってことです。
そういうふうに観測指標をゴールにしちゃいそうなときって、だいたい「正しいっぽいこと」を言って安心したいんですよね。数字があると、ちゃんと管理できてる気がする。ちゃんと仕事してる気がする。そういうの危うい。
その安心のために価値の評価指標(ゴール)だと信じてしまうことになると、本当に得たいものが得られないし、どんどんおかしな行動基準になる。
(読了率を上げる文章量とか、ページビューを稼ぐためのページ分割とかね)
どんなユーザー行動があればビジネス価値になるのか、ユーザー価値になるのかを考えて設計をすれば良いわけで、それは「離脱率を下げることじゃない」かもしれないし、「読了率は上げなくてもいいので、回遊率は上げましょう」かもしれない。
素朴な直感ベースで話してるときって、言ってる本人も「正しいっぽさ」に騙されているし、自分で気づいてないんですよね。こういうの、ぼくもやってることがあるから気をつけたいなと思います。みんな気を抜かずにがんばってこーね。
おわり。