最近、インターネットに「個人が勝手に作ったもの」が戻ってきている感じがある。
まわりのベテランなエンジニアたちが、OSSや個人アプリを公開する量が増えているんですよね。仕事で必要だからというより、「こういうの欲しいな」と思ったものを、そのまま形にして出している。
理由はたぶん生成AIで、「こういうのあると良いな」と思ったものを現実的に作れるようになったからだ。
シニアエンジニアの人たちがAIで元気になって、次々にOSSやら個人開発の独自アプリを出すようになっている。
— フジイユウジ (@fujii_yuji) March 28, 2026
ぼくの身の回りだけでも、けっこうな数の人がそうしている。とても良い。
で、最近ぼくもGoogle AnalyticsのリモートMCP を作ったんで、今日はインターネットに「個人が勝手に作ったもの」が増えると良いよねって話を書きます。
ふと思い立って、Google Analytics の リモートMCP を作った(AIが)。
ふと、「生成AIがあるんだし、チームメンバーみんながとても気軽にデータに触れられるようにしたいな」と思ったんですよね。
個々がClaude Code使うとかでもなく、GA4の使い方を勉強してるのでなくても、SlackBotなどを通じて「流入元別の分析をして」とか「季節変動を除いた過去半年の分析して」ってAIに聞くだけで回答が返ってくる。流入の大きな変化があったら、AIが勝手にレポート書いてくれる。
そんな感じのをやりたくなった。
Google Analyticsの公式MCPがかなりよくできているので、やりたいことはMCP経由ならだいたいできそうだ、と思いました。
単にGA4のデータを取ってくるだけじゃなくて、ニンゲンが雑に入力した依頼に対して、「どの分析ツールを使えばよさそうか」をAIエージェントが判断しやすい作りになっている。
ただ、このGoogle公式MCPは、ClaudeやCursorみたいに、各PCのローカル環境で動くAIと組み合わせて使う前提のものです。それはそれで便利なんだけど、Slackと連携したり、クラウド上にあるワークフローから呼び出したりすることができない。
APIでいいじゃんって思うかもしれないけど、MCP経由だとAIエージェントが分析に使うべきツールを間違わずに選べる作りになってるので、気軽に分析できるようにするためにもMCP経由が良かったのです。
でも、AIがあれば、このよくできた公式MCPをサーバー上で動くリモートMCPに改造しちゃうのもできそうだなって思い立って作ったわけです。
新幹線の移動中にできた(AIが2時間くらいでやってくれました)
で。ある週末にプライベートなお出かけがあって、新幹線で移動してたんですね。
この移動時間に何かできることないかな……と考えてるときに「ちょっとやってみるか」となったわけですよ。
まず、Google公式のMCPをダウンロードしてきて、リモートMCPに改造することが技術的に可能かを調べてみました。調べたって言ってもAIに調査させてレポート書かせただけなんですけど。そこから、要件まとめつつ、公式のコードの分析レポートをもとに設計と実装計画を立ててもらって、レビュー。
この設計とかドキュメンテーションを行きの新幹線でやって、1.5時間くらい。
それから、帰りの新幹線でコードを書かせてたんですけど、実装にかかったのは30分ちょっとくらいじゃないかな。Cloud Runへのデプロイも、n8nの設定もAIにやってもらっちゃった。
「季節変動を除いて、流入推移からレポート出して」とか「ページ別の流入分析して」みたいなのがチームの誰でもでできちゃうし、チームとして定期実行を設計することもできる。
個人として作ったものではあるけど、仕事で関わっているいくつかのチーム(謎)でも導入してみたら、すごく良かった。
組織ごとに合わせたシステムプロンプトやプロパティ管理を工夫したり、分析するサイトごとの用語を入れておくみたいな使いこなしテクニックはいるし、APIコストも少しかかるんだけど、チームが気軽にデータに触れられるようになるので、とても良いなと感じています。いやー、本当にやって良かった。
もし、使ってみたい方がいたら、↓ここから使えます。
※セキュリティやライセンスについて調査してから公開してますが、もしぼくの見落としがあったら優しく教えてください。
「作りたい」というPOWERが高まっている気がする。
冒頭でも書いた通り、ぼくだけじゃなく、生成AIのおかげで「こういうの欲しいな」ってものを形にして公開している人が増えてきている気がする。
そういう人たちは、たぶん「これで当ててやろう」と思っているわけではないと思うんですよ。当ててやろうじゃなくて、作りたいと思って作っている。
それって、「描きたいから描いてる」とか「やってみたいからやってみてる」って人たちが活躍してきた、ぼくらの好きな「インターネット的なやつ」じゃないですか。
地味に令和のWeb2.0みたいなやつが来てるんじゃないですかね。いや、令和のWeb2.0ってなんだよって感じだけど、他に良い言葉が思いつかんかったです。
ブログが出てきたとき、たくさんの人が書き始めた。YouTubeが出てきたとき、たくさんの人がクリエイターになった。どちらも「自分の考えや表現を世の中に出す」ためのコストが下がったから起きた、インターネット的なムーブメントだったと思うんですよね。
ソフトウェア開発でも近いことが起きているのかもしれない……というのは、まだまだ言い過ぎではあるけれど、インターネットが「発信する」敷居を下げたように、生成AIによって「作る」敷居が下がっているのは間違いないんじゃないでしょうか。
「誰でもハリボテっぽいアプリくらいなら作れるようになった」時代の変化によって、これからは何を作るかの発想力の勝負になる、と言われがちだけど、ぼくはそうじゃない気がしているんですよ。
生成AIで稼いだろって思ってるやつらによってゴミアプリが大量に作られて、アプリストアの審査がパンクするほど増えているらしいけど、そういうゴミの話ばかりしても意味ないんですよね。
誰でもというよりも、「なぜそれが必要なのか」とか「どう設計すれば価値があるものになるのか」を判断できる経験や設計知識を持っている人たちが、かなり活躍できるようになるんじゃないかなあと思っています。
そうなって欲しいなあってぼくの願望かもしれないけれど。
AIによって、そういう人たちが形にするコストが劇的に下がったし、そういう人たちが「作りたいから作る」ものって魅力的だと思うんですよね。
これって、めちゃくちゃ素敵なことじゃないでしょうか!!!!
少なくとも、ぼくの身の回りにいるベテランエンジニアっぽい人たちは、AIのせいでやたら元気になっている。なので、そういう人たちの「作りたいPOWER」がもっともっともっと盛り上がるといいなあ……と思った次第です。
おわり!!!
(余談)
それにしても、ついつい役に立つものばかり作りがち。もっと意味不明なものを作りたい気がしている。
せっかく、AIでWebアプリやサイトが作れるようになったというのに、ついつい真面目なツールばかり作ってしまう。もっと、誰の役にも立たないが何か楽しいみたいなものを作りたいな。
— フジイユウジ (@fujii_yuji) April 25, 2026