X/Twitterで、打ち合わせすることが決まった相手に「日程調整ツールURLから調整お願いできますかと言うのはダメだ、危機感が足りない」という煽りツイートを見かけたので、「僕は気にしないけど」と言ったら、さまざまな角度から反応が返ってきて驚いた。*1
僕としては「こんなくだらんことで危機感とか言って煽るなよ」くらいに思って、気軽に書いたものだったが、何人かのひとたちから「こんなメール送ってくるやつとは会うのをやめるし取引は絶対にしない」とまで言われて驚いたのですね。
どうも日程調整というものはヒトの心の柔らかい何かに触れてしまう話題であるようです。
日程調整の方法とかどうでもいいことで消耗してないで、サクッと日程調整することで双方の負担を下げた方が合理的であるとは思ってはいるのだけれど「強くイヤだという人が現実に存在するのだから、その気持ちを無視するのは合理的ではない」と考えて、見かけた意見を整理してみることにしました。
先に書いておくと、正直マトモに良い仕事している人であれば各自のビジネスの目的に向かってするべき対応をしているので「こうでなくてはならない」なんて些事にこだわった話はしないし、些末なことを気にするべきではない。あくまで本ブログ記事はビジネス雑ネタ程度のものとして読んで欲しいし、結局は「ぶっちゃけ、おのおのが好きにしろ」が結論であることは先に書いておきます。読むのが面倒なひとは最後の「僕たちはどうしたらいいのか」というまとめ部分だけ読んだ方が良いかもしれない。
日程調整ツールを使うな派
日程調整ツールのURLが送られてくることを失礼だと感じる人がいるのはわかっていたのですが、想像していた以上に「URLが送られてくるとイラッとする」という人は多かった。
(一度OKを出したとて)打ち合わせするのを止めるレベルでNGみたいな過激な意見もあった。
※本件は初手からいきなりURLを送る話ではなく、A「お時間もらえませんか」→B「いいですよ」というやりとりの後にAが日程調整ツールを送って良いかどうかという話ですので、その前提で読んでね。
- 相手が使ったこともない(かもしれない)ツールを強制するのは自分勝手。
- 自分の空きを知らせるというのは自分の都合を押し付けること。
(ただし「メール本文に3つくらい候補を書くのは良いが、ツールはダメ派」もいて、色々な好き嫌いが存在する) - 「俺のやり方に合わせろ」とぶん投げられた気分になり、ネガティブな印象しかない。
- 1回会ったら次は打ち合わせはツールでも良いが、1回目の打ち合わせの日程調整でツールを使ってはダメ。
もちろん「調整ツールを使うことはメールの往復回数を減らし、相手の調整時間を減らすのだから、気遣いである」という意見の方が多かったし、2回目なら良いという人の理由もよくわからない。
ただ、一定数のひとがツールURLが送られてくる事自体を嫌っている人がいるのは間違いないということは覚えておいて、相手によって変えられるならば変えたほうが良さそうだとは思う。
そもそも自分の予定を送るな、相手の空きを聞け派
僕に「何もわかってない。相手の予定を聞け。お前が相手に合わせるんだよ」というような意見を言う人もいた。
なるほど、相手に合わせるためにこちらの日程を送るということ自体が間違っていて、相手の出してきた希望に合わせるものである、と。
それは理解できるところがある。
※「こちらから候補日をお出しすることもできますが」と言うと相手から候補がもらえる、という意見もあったが、A「お時間もらえませんか」→B「いいですよ」というやりとりの後にAから「こちらから候補日をお出しすることもできますが」と伝えて……とやってたら何往復することになるやら……ここまで婉曲的にしないと安心できないヒトもいるんですね。
ただ、「相手の出してきた日程に動かせない予定が入ってたら、何度もメールを往復しながら調整することになって、余計に失礼じゃない?やはり候補があるなら出すのが配慮では?」という反論もあったし、僕もそう思う。
不毛なやりとりを減らせるからこそ、日程調整ツールのようなものが現れて便利に使ってる人たちがいるわけだし。
ともあれ、「相手に合わせてなんとかすることが大事なんだ派」は、相手を尊重するという態度が最優先されるべき(日程調整の手間が増えることよりも大事)という考えで、相手がそういうタイプだとわかったときはそれに合わせるのが良いのだろうなと思いました。
態度と文章が悪い派
ツールを使うかどうかや相手に聞くかどうかの問題ではなく、文章や態度の問題であるという人たちもそれなりにいた。*2
「以下からお選びください」なら会いたくない。「以下からご都合の合う日はございますでしょうか?」であれば良いし、「もし、合わないようでしたら候補日をお知らせください」と書いてない時点で取引したくない。
……ということらしい。
会って話を聞きたいと思ったサービスの営業に対して、話を聞く前に断るくらいそこが重要な要素ってこと……どういう判断……?
選択を強制するようなコミュニケーションをする人とはコミュケーションコストがかかりそうだからOKを出した打ち合わせもキャンセルするし、取引することはないという強い言葉を使う人たちがいたのは、なかなか驚いた。
もちろん、発信側の目線としてなら「選択を強要していないような表現にしようね」と考えて行動するものだと思うのだけれど、受信側の目線で「お選びくださいと言われたら即ブロック」という横暴な態度をとれる人がそれなりにいて、自分は絶対に正しいと考えていることに驚いてしまいました。チョットコワイヨ
「俺の都合に合わせて選んで、といったビジネスではあり得ないレベルの表現をされたわけではない」と僕は考えていたのですが、このタイプの人たちにとっては「以下からお選びください」はビジネスではありえない表現であり、「俺の都合に合わせろ」と(書かれていなくても)書かれているのと同じであると感じ取っているようなのですね。
個人的には書かれていないことを読み取るのは良くないと思うし、日程調整の一文だけで取引に値しないと判断して選択肢を狭めちゃうんだ……とは思うんですけども。
「もし、合わないようでしたら候補日をお知らせください」と書かれていなくても、僕が受信側なら日程調整ツールで来月以降とか先の予定を見て設定するとか「今月中に合う候補日がございませんでしたが、他に調整可能な日はございませんか?」と返信するけれど……。
そうではない人たちも沢山いることを知る良い機会になりました。本当に勉強になったなあ。
いや、もちろん僕も「発信側として」なら選択を強要しているように受け取られないような書き方したいなとは思いますが……受信側として攻撃的な人がこんなにいるとは……
「会議室に入るときのドアノックの回数が3回じゃないやつはコミュニケーションコストがかかりそうで一緒に仕事したくない」とか「客は神様扱いしろ」言われているようなモヤっとした気持ちになってしまいました。
とはいえ、繰り返し書いているように「それがイヤという人が現実に存在するのにその気持ちを無視するのは合理的ではない」とも思うので、こういうことを大切にしている人たちがこの世に多くいる実感が足りていない自分を見つめ直して、できるだけ色々な人に個別に合わせられるように頑張ろうと思います。
僕たちは日程調整をどうしたらいいのか
結論としては「何を気遣いだと感じるか」は人によって違うので、「あるべき」を議論しても擦り合うことはなさそうという話なんだと思います。
ひとりひとりの心の中に好きな日程調整発表ドラゴン(あるいはキライな日程調整発表ドラゴン)がいるんですよ。
ンバヂ(nbaji) さん配布の「好きな惣菜発表ドラゴン」より
特にいまは変革期であり過渡期だから、日程ツールを使った時点で選択を強要されていると感じる人もいるし、ツールを使わなくても「以下からお選びいただけませんか」と書いたらもう取引停止という人もいる。 (もちろん初手からに日程調整ツールをサクッと投げてほしいという人も沢山いる)
まぁ僕は業者なんで社外では気をかけた連絡心がけるんですけど、人には求めませんね。みんな好きに、希望をぶつけあって互いの希望が一致するなら話進めればいいと思います、ちょっとでもめんどくさいと思うのならばただ単に断ればいいだけです、他人にやたらと丁寧さを求めるのは窮屈です。
— 小西 一星 (@isseik) 2024年6月1日
JADEの小西さんが書いてくれたように、発信側としてはできる範囲で「ぼくのかんがえる適切な配慮」をするしかなく、(受け手側が欲しい配慮がさまざまである以上は)それが相手と合わないときはどうしようもないと思うしかないのでしょう。
ある人には配慮となることも、ある人にとってはただ面倒なだけだし。
そして、話の受け手側としては、他人にやたらと丁寧さを求めるのは窮屈だというのに賛同します。
例えば、3つの日時候補があって後は相手が選ぶだけって状況なのに「3番目以外はいけます」って返ってくると2秒くらいだけ「選んでくれないと効率悪いな」とは思いますが、2秒過ぎたらどうでもよくなります。相手の日程調整プロトコルが自分と違っても仕事を進める支障になるわけじゃないし、相手へのイヤな気持ちが溜まったりもしません。
どうしても譲れないこと(ビジネスの目的に合わない条件であるだとか)であれば、こだわって断るなり注意するなりすればすれば良いですし、「自分とちょっと違う日程調整をしてきた」とか「ドアノックの回数」みたいなコミュニケーションのプロトコルを強制し過ぎるのは、選択肢を狭めるだけで、ビジネスの目的を見誤っているんじゃないかなあと思うのですよね。
2024/06/03追記: 『色んな人がいるから送り手になるときはできるだけ相手に合わせて配慮し、受け手になる時は違いを気にせず受け入れようよ』という内容を書いたつもりですが、そうは読めないというコメントや反応があったので、改めて書きますが、
このブログ記事は『色んな人がいるから送り手になるときはできるだけ相手に合わせて配慮し、受け手になる時は違いを気にせず受け入れようよ』ということを伝えたくて書きました。
僕は今回、自分の思うベストな日程調整方法を語ってもいいけど、その前に『色んな人がいるから送り手になるときはできるだけ相手に合わせて配慮し、受け手になる時は違いを気にせず受け入れようよ』を前提に置いて考えることが何より大事だと学びました。
※繰り返しますが、本ブログ記事はビジネス雑ネタ程度のものとして読んでもらいたいです。「こうでなくてはならない」の不毛な議論をするネタにはなりたくないなと思っています。
おまけ
(1). 僕は日程調整の専用ツールは使っておらず、Googleカレンダー公式機能の「予約スケジュール」を使っています。べんりだよ。
(2). 面識はないけど、僕はこにふぁーさんのブログが好きでファンなんですよ。先にこの件を書かれてしまったw
こにふぁーさんの前向きで優しい表現すきだわ。こうなりたい。