Clubhouse、このまま流行るか上から見るか下から見るか。

こんにちは。WEBサービスやらECサイトやらメディアやらを作ったり運営したりしているフジイと申します。

インターネットになりたいって言いまくっていたら「いんたーねっつさん」って呼ばれます。まだなってないけど。 

Clubhouse、このまま流行ると思いますか?

2021年1月、Clubhouseというサービスが流行りはじめていて、日本のスタートアップやインターネットのサービスに関わる人たちがみんな(招待制のため)自分もやりたい、招待枠を誰か持っていませんか、とワイワイしているのが観測されます。

Clubhouseはどんな体験ができるのか、従来サービスと何が違うのか————は、すでに多くの業界人がブログやnoteで書いているので、僕は書きませんw
今日はインターネットの話をしたいと思います。

(タイトルと見出しは釣りだ。すまんな)

 

招待されなかった悲しみからか、招待されて見に行ったけど楽しめなくてスネちゃまになったからか分かりませんが「どうせすぐ飽きて数か月後には誰も使ってない」とか、「マストドンみたいになるぞ」という発言が散見されます。

僕は日本で流行りそうになった4年前から今でもマストドンやってるし、毎月サーバー代払ってまでマストドンやってる人たちは、まだそれなりにいるので「死んだSNS」みたいに馬鹿にするのは止めていただきたいんだが————まあ、言いたくなる気持ちもわかりますけどね(笑)

でも、いま世界中で使われているようなメガWEBサービスやデジタルデバイスだって、最初はごくごく一部の人しか使わないもので、子供かマニアの玩具みたいな扱いだったことがほとんどではないですか。パッと見で流行るかどうかを決めつけないで自然体で楽しんだら良いと思うのです。

そもそも「この後、流行らない (かもしれない) から楽しくない」なんて価値基準、あります?

流行りそうかどうか、そういう価値基準で楽しさを測るものではないですよね。

仮に、数か月後に誰も話題にしなかったとしても、だから何だというのでしょう。

あなた自身が使うWEBサービスやアプリなのであれば、いまこの瞬間に楽しいかどうかで選べば良いと思いませんか。評価をしに行ってるわけではなく、サービスを体験しにいっているのですから。

アプリやサービスそのものだけではなく「いま、アーリーアダプター的な人たちで流行り始めているというムーブメントの瞬間を楽しむ」という楽しみ方もあります。
「流行りものに飛びつくのダサい」と斜に構えるのも個人の自由ではありますが、楽しいと感じる機会を損失してまで斜に構えるムーブしなくても良いんじゃないかなと個人的には思います。

何が言いたいかというと、自分が流行りに早く気付いたかどうかゲームではないってことです。WEBサービスやアプリは素直に楽しめ。

 

サービスは爆発的に流行るかどうかだけで価値を測るものではない

インターネットやテクロノジーのビジネスに関わる人たちは仕方ないともいえるのですが、「これはビジネス的に意味がありそうか」という視点を重視しすぎなんじゃないでしょうか。

自分が使いたい面白いサービスかどうかではなく、「新しいスターを生み出すソーシャルメディアか」とか「セルフブランディングやマーケティングのツールとして活用できそうか」という価値基準に寄り過ぎてはいないでしょうか。

新しいサービスを見つけて楽しい体験をしようというのではなく、「いち早くサービス評価して流行りそうなところでポジションをとって先行者利益を得よう」とギラギラしている人たちが多いように思います。
いや、別にそういう人がいても良いです。そういう人がいるおかげで広まったサービスもありますし、経済的な価値というのは社会のためにも良いものですからね。

ただ、そういう人が多すぎるような気がしています。
多すぎると、ビジネス的に使えるツールではないものには価値がないと考える人が沢山いるという状態になりますよね?

みんながそうだと、僕は日本のインターネットの力が下がると思うんですよ。

楽しいと思うかどうかじゃなく、流行りそうかどうかでサービスを選ぶと、ユーザーにとって面白いサービスであるものでも爆発的な流行を生み出せそうにないから低い評価になり、その評価が価値として流通するということが起きます。
そういう評価軸・価値基準が主流になるのは、これは損失ではありませんか。

インターネットに生かされ、インターネットに生きる民としては、こういう風潮が気に食わないんすよねえ。ビジネス野郎どものためだけにインターネットがあるわけじゃないからな(←急に口が悪くなる)

サービスは爆発的に流行るかどうかだけで価値を測るものではないし、それこそユーザーの体験を軽視しすぎではないですかね。

インターネットやテクロノジーのビジネスに関わる人たちは仕方ないともいえるのですが、「「新しいスターを生み出すソーシャルメディアか」とか「セルフブランディングやマーケティングのツールとして活用できそうか」という視点を重視しすぎるあまりにユーザーの体験を軽視しているように思います。

例えばマストドンは、居心地の良さで定着したユーザーがいまも日本語ユーザーで数万人くらいはアクティブに楽しんでいます。

確かにもう規模の大きいSNSではないですが、ちゃんとユーザーにも運営者にも価値を提供して稼働している面白いサービス、良いコミュニティとして安定しています。
これをまるで価値がないと切り捨てるのも違うと思うのですよね。

 

確かに、ビジネス的な価値が高い方が継続してサービス向上を続けることができますし、サービスとしても面白いものになりやすいのは分かります。

でも、インターネットのサービスやアプリケーションを作ったり企画する人たちがサービスを利用するユーザーの価値や体験よりも、ビジネスツールとして活用できそうかどうかの評価軸しか見なくなったらヤバくないですか。

いんたーねっつの危機————は、言い過ぎにしても、ちょっとビジネス視点が過剰すぎるのは日本のインターネットサービスの健全な発展にはマイナス影響があるように思いませんか。

多様な面白いサービスが沢山ある方が良いと思うので、ビジネス視点や爆発的に流行りそうかだけではなく、ユーザーにとって良いサービスであるか、面白いサービスであるかが語られて欲しいなあと思います。
(ちゃんと両方見てるよって人も沢山いるとは思いますが)

 

僕は面識も繋がりもないのですが、バーチャルライブ配信REALITYの代表をされている荒木さんがこんなツイートをしているのを見かけました。

おじさんdisは置いておいて(笑)、 これはすごく鋭い視点で良いこと言ってらっしゃるなーと思うんです。DiscordとかYay、ミラティブとかREALITYを「楽しんでるユーザー」たちがいるってのを体験して、そこに視点を向けても良いんじゃないという指摘だと僕は感じました(僕の勝手な解釈かもしれませんが)。

「ユーザーがどう楽しんでいて、そこにどんな価値が発生しているのか」

流行りそうとか、先行者利益でビジネスチャァーーンスとかじゃなくて、インターネットの新しいサービスを作って経営している人は、こういう視点でいて欲しいなあと個人的に思っていたので、ビビっと刺さったツイートでした。

インターネットを好き人たちでもっと楽しいサービスが増えていく文化を作っていきたい。

この記事の中盤でも書きましたが、決してビジネス視点がダメってわけではありません。

偏った価値観が多くなってくると、そこで良いサービスが生まれにくいインターネットになっていきそうだなと思ったわけです。
インターネットを好き人たちで (勝手なビジネス評価ではなくユーザーが楽しめる) 良いサービスが増えていく文化を作っていきたいですね。
その方がテックビジネス・インターネットビジネス市場も良くなると思うんですが、どうでしょうか?

この後、Clubhouseがもっと広まるのか僕には分からないけれど、「これが次にくる」みたいに盛り上げては去っていく人たちの中には、次の自分のビジネスになりそうな場を探してるだけの人が一定数混ざっています。インターネットが好きじゃないんだと思うんだ、そういう人は。

(もちろんClubhouseを素直に楽しんでいる人も沢山いるでしょうし、Clubhouseを評価する発言をしている人がビジネスの役に立つかどうかだけ見ている、という意味ではありませんのであしからず。)

インターネットやサービスが好きなわけではなく、自分のビジネスになりそうな場を探しては去っていくだけの人たちの価値基準に引っ張られないように、インターネットを愛する民である我々は素敵なサービスに触れたり、作ったりしていきないなとフジイは思ってこの記事を書きました。

最近はこれぞというサービスを出せていないフジイなので、もっと頑張らないといけないなと自分に言い聞かせるために書きました。がんばるぞ。

 

 

最後に、Clubhouseの招待をくれる親切な友人を見つけた直後にGoogle Pixelをじっと見ながらツイートした僕の気持ちをご覧ください。

 Android版ないのかよ