チーム内から組織の破壊者を生み出さないようにしたい

最近は組織づくりや経営よりも、PdM的な動きが多いフジイです。こんにちは。

それはそれとして、もう少しブログを更新できるようにしたいので今日はリハビリ的に組織づくり・会社経営ネタの軽いやつを書きます。

 

『ビジョナリー・カンパニーZERO』を読んでいたら、こんな一節があってめちゃめちゃ共感した、という話です。

社内に派閥や緊張関係があるときには、「橋渡し役」になろうなどと考えてはいけない。橋渡しをする代わりに、すべての派閥を一室に集め、問題を直接話し合ってもらうべきだ。

どんな会社にも、自分で直接問題を解決しようとせず、不満があると母親か父親のところに走ってくる子供のような態度をとる社員はいる。そのような行動を助長してはならない。

 

これ、めちゃめちゃ重要だなと思うのですね。

組織が固まっていない少人数のときにマネジメントや経営者がやってしまいがちな人間的な過ちに対して注意を促しています。

 

 

余談ですがこの本。ちょっと経緯がややしこしいのですが、スタートアップや中小企業が「偉大な企業」になるために必要なことを解説している名著ビジョナリー・カンパニーシリーズより前に書かれていた(ビジョナリーカンパニーの原典的な)『ビヨンド・アントレプレナーシップ』という本があって、それが2020年に『Beyond Entrepreneurship 2.0』という名前で改訂版が出たのです。

その2.0の日本語訳がこの『ビジョナリー・カンパニーZERO』です。日本だとビジョナリーカンパニーシリーズっぽい名前にした方が売れるから、この名前なんですかね。

 

さて、話は戻りますが「自分で直接問題を解決しようとせず、不満があると母親か父親のところに走ってくる子供 のような態度をとる社員はいる」というの、あるなーあるあるあるあるある(ある×1000)と思ってしまいました。

 

その子供のような本人は、良かれと思ってやっているのですよね。

 

「あの人は、顧客や部下に負担をかけていると聞きました!!!!問題じゃないですか!!」とか「AさんがBさんにこんなことを言っています!!!」とか。

 

『ビジョナリー・カンパニーZERO』のこの節を読むちょうど直前にも僕はこんなツイートをしていまして

ちょうど、ツイートした内容と同じじゃん!! これで僕も実質ジム・コリンズじゃん 

と、思ってこの一節を読んで興奮したのですね。

 

こういうことをする人は、自分が問題だと思っていることが組織や事業を破壊するような本当の問題(problem)かを判断して報告しているのではなく、ジム・コリンズが本書で書いてる表現の通り「不満があると母親か父親のところに走ってくる子供 のような態度をとる」ことを目的にして「アイツが和を乱していますよ」と言い出すことが多いように思います。

 

そのような行動を助長してはならない。

と、『ビジョナリー・カンパニーZERO』に書かれているけれど、実際にこういうメンバーが組織にいると対処は簡単ではない。

特に中小企業(的な経営をしている組織)は、社長やマネジメントがこの悪い傾向を強化してしまうことがあるように思います。

 

社内に派閥や緊張関係があるときには、「橋渡し役」になろうなどと考えてはいけない。

と書かれている通りに、社長やマネジメント役が人情的に「橋渡し」をしてしまうことが多いからです。


規模の問題ではなく、人数が多かろうが少人数であろうが、組織化されている集団であれば情報の取り扱いや、コミュニケーションや意思決定の構造が決まっています。
それを乱すことで組織や事業が破壊されるからです。

 

ですが、ほとんどの企業、特に中小企業は規模が大きくなるまでコミュニケーションや意思決定の構造を整備して組織化を進めようとはしません。

組織化されていない会社においてジム・コリンズの言うところの「どんな会社にもいる、自分で直接問題を解決しようとせず、不満があると母親か父親のところに走ってくる子供のような態度をとる社員」が行動を起こしてしまうと、社長やマネジメントが自分を頼ってくれていると感じたり、その人の重要な発見を報告してくれていると思ってしまい、本当に重要な組織の問題と見分けがつかなくなります。

そして、社長やマネジメントが「子供のような社員」の報告を受けて、問題の当事者とされる人物に別の言い方で伝えようとしたり、状況を交通整理する「橋渡し役」になるのが自分の仕事だと勘違いすれば、より状況は悪化し続けて止まらなくなります。

 

報告をした「子供のような社員」と社長、問題の中心とされている本人は不在で、その人の行動を知っている別の社員がヒアリングされるなどしながらSlackのDMグループや会議室で「なんか社内の重大な問題が話し合われている雰囲気だけある会議」が繰り広げられます。

 

 

こういうとき、本当に組織や事業が破壊されるような問題なのか、その問題とされている人物が解決できる問題なのか、「重大な雰囲気だけある会議」で分からなくなっていますが、問題を見渡せているような錯覚に陥ってしまいます。

※えらい人に助けを求めるしかなくなった社員の言葉を無視しろという意味ではなく、拾うべき問題と見分けがつかなくなる(えらい人は見分けていると勘違いしてしまう)から危ないよというのがこの話の主題です。

 

えらい人からしたら「現場から重大な問題が上がってきた」みたいに思ってしまって、張り切ってしまったりするので、より組織破壊の傷口は大きくなっていきます。

子供みたいな社員はどこの会社にもいると書かれているけど、人情みで混乱を大きくするえらい人も割と色々な会社にいますよねw

 

僕は、これはニンゲンの認知の癖みたいなものであり「俺はそういうの分かるタイプ」みたいな自信があればあるほど危険なやつだと思っているので、できるだけ組織の構造で対処すべきだと思っています。

 

どんな会社にも、自分で直接問題を解決しようとせず、不満があると母親か父親のところに走ってくる子供のような態度をとる社員はいる。そのような行動を助長してはならない。

 

何度も同じところを引用してしまいますがマネジメントは「そのような行動を冗長してはならない」のです。

(こういう行動するのは中途半端に仕事できるがゆえに謙虚さを失ったマネジメント層にいる気もしますが)

 

ジム・コリンズが書いたように「このチームはそういう状況なっても問題や課題をすべて全員が見通しのつくテーブルの上に上げてから解決に向けて動く」とチームメンバーに知れ渡っていれば、不満があっても母親か父親のところに走ってくる子供のような態度をとることはできず、仮に偉い人に泣きついても「本当に組織や事業が破壊されるような問題ならば、会議で問題提起するのがあなたの仕事ですよ」と言われるだけだけになります。

個別具体的な問題やニンゲンの個に向き合うのではなく、組織の問題解決方法を構造化・ルール化していくことで、本当のクリティカルな問題だけを抽出して、子供的な社員の行動を抑制することができると思うのですね。


組織の破壊者といえる「子供のような行動」をする人はどこの会社にも必ずいますし、優秀と言われる人がそういう行動をとっていることも多いように思います。
だからこそ、できるだけそういう行動が発生しない組織づくり、発生しても組織が破壊されない組織づくりをしないといけないのだなーと。

 

他にも『ビジョナリー・カンパニーZERO』には偉大な企業には何があるのかということを生々しく書かれていて、読んでいて面白いです。
この手の本をたくさん読んでいる人にとってはあまり新しい発見はないかもしれませんけれども、重要だけどなかなかできないことが列挙されていて、改めて気が引き締まるなという感じです。

 

 

本を読む力が落ちてしまって、本を買って積むばかりでまったく読まなくなってしまったなーと感じていたので、自分に制約と強制力をかけるため「本を積むだけで読まない人たちが集まって本を読むオンライン読書会」を毎週土曜の朝8時から開催するようにしました。集まってくれる人たちのおかげで本を読む時間を強制的に作れています。

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久々に書いたブログなので割と雑な内容になってしまいましたが、またちょくちょく書くようにペースを戻していきたい所存です。。。

読むだけではなく書く方も強制しないと難しいかなあ。