生産性が低い組織ってかなり多いような気がしますよね。生産性が低い組織を作りたい人はいないでしょうから、生産性を良くするというのはとても難しいことなんだと思います。
生産性の低さの原因や要素は会社により色々ですが、「根本的にまずここを直さないと他を直してもどうにもならんよ」という基本があると思っていて、今日はその話を書きたいと思います。
会社内で情報を捻じ曲げるから生産性は下がり続ける(が、誰も止めようとしない)
相手や階層に合わせて情報を捻じ曲げると激しく生産性が落ちるのですが、その生産性が落ちることを率先してやっているのをよく見かける気がします。
- 作業者に対しては達成したいことやKPIの背景を隠す。
- 偉い人に上手くいってると思ってもらえる伝え方をする。
- 課題や難しい点があると思っても言わない。
これをやっていると社内の情報流通の速度が落ちます。情報を共有するのに生の情報を伝えることができず、いちいち相手に合わせて加工する工程が増えるのですから生産性は悪くなりますよね。
そして、加工されることで情報の正確性が低くなることで生産性が落ちるんですよね。上記の例のように断片的にしか情報がなかったり、良い部分だけ伝えられていればそりゃあそうでしょう。
もっといえば、当事者は効率良くやっている気分になるという負のループが発生します。
「伝えるときの摩擦を減らした方がお互いのため」が優先された結果と社内の情報流通スピードが落ち、正確性が失われ、当事者は効率良くやっていると勘違いする負の連鎖が続いてしまって「組織としてこれが当然」と思う人が多数になっていくのではないでしょか。
仕事ができる人ほど嘘をつくようになる職場の話。
ある上場企業の地方工場の話が興味深いので紹介します。
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ベテランは80台/日の作業をこなせるが、素質のある新人で8~10台、向いていない新人だと1日かけて1台も作業が終わらない作業があり、ベテランや現場責任者は困っています。管理職は人数を増やすために1日かけて1台も作業が終わらないタイプをどんどん採用しており、ベテランが新人指導にとられて生産数が落ちる上に、品質問題が発生しています。
人数を増やすだけの採用に問題があるという話が聞き入れられなかったことから、現場責任者はベテランの生産数の大半を向いていない新人の生産数として報告。
結果、その報告を聞いた管理職は人を増やした成果が出ていると考え、採用基準を下げたまま人を増やしていくので問題はより深刻になっていきます。
(※上記はこのTogetterにあった話を簡単にまとめたものです)
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この工場で、現場責任者は嘘の報告をするようになっていくわけですが、この話を読んだ人の多くは「現場を知らない経営者や管理職め」と怒る人が多く、嘘をついた現場責任者を問題視している反応は少ないように思いました。
もちろん、嘘をつかせる状況を作ったのは管理職や経営者ではあるのですが、現場責任者の「自分の職責を果たすために嘘をつく」という行為と、それをさせた管理職がセットになったことで生産性を下げているのは間違いないですよね。
嘘をつくほうが仕事が回る環境では仕事ができる人ほどそれをやり、そして当事者たちはそれは嘘ではなく職責を果たすための仕事のやり方であると考えている……というのは、実はこの例じゃなくても色々な会社の色々なところで発生しているのかもしれません。
なんで情報を捻じ曲げる方を選ぶのか。
なんで情報を加工したり捻じ曲げたりしてしまうのか。以前、こんなツイートをしました。
もちろん、そういう情報の個別加工はこれまで「それが上手くいく方法だった」から選ばれているのだから、一概にダメという話ではないのだけど、本当にチームで生産性を上げたいなら徹底して努力するしかないのよね。
— フジイユウジ (@fujii_yuji) 2022年10月3日
中途半端が一番上手くいかないので。
あと全員が全ての情報を知る必要はないから、メンバーが情報の受け取り方の訓練が必要になるとか、そういうのもある。
— フジイユウジ (@fujii_yuji) 2022年10月3日
「伝えるときの摩擦を減らした方がお互いのため」と部分最適が上手くいってしまうことで、それは良いことであると考えている人がいるのが原因ではないでしょうか。
昔はそれで良かったのかもしれませんし。
しかし、それでは全体としてはどんどん悪い状態になっていく、というのはこの記事の前半でも書いた通りです。
解決方法としては、情報を加工しないでストレートに伝える人をを採用する……のではなく、「嘘をついたり、見せ方を変えた方が良い仕事になる」という組織の状態を変えないといけないのですよね。
例えば上手くいっていない状況を共有をしたら「仕事ができないやつ」と怒られる、評価が下がるなどの不利になることしかないのであれば、そりゃ情報の見せ方を変えて報告されてしまいますよね。
個々人のせいにするのではなく「チーム課題を発見したら評価される」みたいな仕組みがないと解決しないというものです。
「チームメンバーに生の情報をそのまま伝えられない」なら、生産性が上がらない病はここにあるんじゃないかなと思います。
生産性に向き合うために、ここ最近はチームメンバーの姿勢や文化づくりの面では「心理的安全性のつくり方」のような本だったり、「チームトポロジー」みたいな組織設計が話題になっていて、とても良い傾向だと思います。
会社内で「偉い人にはこう伝えよう」「◯◯さんには伝えないでおこう」「現場にはこう伝えよう」と、情報を捻じ曲げて流通させると生産性がとても下がる。
— フジイユウジ (@fujii_yuji) 2022年10月3日
社内に情報を流通させる仕組みと、情報を加工しなくても良い心理的安全性の確保など努力は必要だけど、生産性を上げたいなら徹底するしかない。
「生産性」っていうと個人個人が積み上げてチーム全体の生産性が良くなると思っている場合が多いですが、ほとんどの場合で組織的にしか良くすることができないと思うんです。
いや、ほんと生産性を上げる(下げない)ための基礎の徹底、がんばりたいですね。
余談。
最後までお読みいただきありがとうございます。
このブログ「フジイユウジ::ドットネット」は今月は毎日更新するという宣言しているのですが、本日分は24時を過ぎてから遅刻して投稿しております。すみません…。
いままで年2回くらいしか更新してなかったブログ書きが、急に全力疾走したみたいになっていて毎日吐きそうになりながら更新してます。できるだけ頑張るので読んだ感想をツイートしたり感想をブックマークコメントに書いたり記事の感想つきでシェアしたりしてくれると更新するエネルギーになるのですよ。
はー、ブログの感想もらえると生きていく力が湧くぜ……今日のブログまだ書いてないけどな……
— フジイユウジ (@fujii_yuji) 2022年12月10日
どうぞよろしくお願いします。