顧客の声を活かすCS組織はどうしたらつくれるのか。

顧客の声は聴くべきだし、お客様は自分を大切にしない企業やサービスを使わない、なんてことはどの会社でも分かっているわけですが、それでもカスタマーサポートを上手くやっている企業は多くありません。ぼくの関わっているチームでも上手くやれているところはまだまだ多くありません。。。

この領域に20年以上関わってるはずなんですけど、CS設計やCS組織作りは難しいす…。たまに上手くできることもあるんですけど。

今日、運営堂の森野さんとTwitterでこんな話をしました。

森野さんが書かれている通り、お客様が知りたい情報を発見したり、自分たちが気がつけていない困りごとを発見するには、カスタマーサポートが重要な役割となります。それだけではなく、事業を伸ばせるポイントを見つけるにも、やはりユーザーがサポートをどう使っているかを観察する必要があると思います。

つまり事業の成長にめちゃくちゃ重要なんですよ。
でも、森野さんの指摘のように「ちゃんとしない」会社も多いように見えます。

ただ、それは「やらない」というより「やりたいが技術的にできていない」ということも多そうだなと思って、返信をしたのですね。

顧客から日々届くサポートの質問や依頼を捌くのに必死なだけだと、顧客の声を洞察する機能は働きません。最前線のCSメンバーは頑張って日々お客様と接しているわけですが、その個々の頑張りを組織や事業に活かせる組織や仕組みを持てていないと「現場が頑張っても事業全体には影響しない」という状態になることが多い気がします。

 

「顧客の声を活かす技術」があることをそもそも知っているのか。

CSが日々の対応をした後、お客様から集まったVoC (Voice of Customer、顧客の声)を分析してサービスの改善に活用しようという動きはどこの会社でもやっていると思います。

しかし、「とりあえずVoC、どんどん対応して」みたいな雑な運用されていることも多く、問い合わせ回数の多いものや致命的な問題だけ優先して対応していくだけになったりします。

そうなると分析や洞察もやれず、事業成長エンジンになるどころか「ひたすら耐えるサポート業務」を続けることに。

「VoCを他部門に渡すだけ」も割とあるあるです。せっかく生の声を聞いている人たちの経験を活かせない上に、改善が容易なことや、自分たちのコンセプトに合ってる声だけを拾ってしまいがちです。

顧客はサービスに深い理解を持ったり自己の言語化をできるわけではないですから、VoCそのまま使うのではなく、それを基に深掘りして洞察したり仮説を検証する、といったところまでやれる仕組みと組織を作ってはじめて「顧客の声を聞いている」と言えるのではないでしょうか。いや、簡単じゃないんですけど。

下記はユーザーエクスペリエンスや人間中心設計の専門家、羽山祥樹さんのスライドです。CSの話ではないですが「顧客の声」の難しさを理解するのに最高の資料ですね。
(他にも素晴らしい資料が公開されているので、是非リンク先もご覧いただければ)

顧客の声を活かすには、専門的な視点や技術が必要だということがわかると思います。

「技術が必要」ということをそもそも知らないと「VoCを集めればどうにかなる」と考えてしまうのではないでしょうか。

 

顧客の声を活かす技術をもった組織を作るのは経営の仕事。

結局のところ(CS個々のメンバーの資質ではなく)、経営/マネジメントが「顧客の声を活かす」ための組織や仕組みについてどのくらい精緻に考えているか(またはどのくらい雑に捉えているか)によって、結果がかなり変わると思うのですね。

雑に「顧客の声を聞くのだ」と言っていても「CSは日々の問い合わせ業務をするところ」と考えているタイプの経営者なら上手くいくことはないでしょうし。

CSにどんな目的と機能を持たせるか。

目的や機能をどのように実現するか。

実現に必要な技術をどうやって組織にセットアップするか。

こういったCS戦略をどれだけ精緻に描けているかが重要なんじゃないかなと思います。

それらが機能してはじめて「顧客の声を聞く組織」が動き始めるんじゃないでしょうか。

あんまりキレイにまとまりませんでしたが、今日はここらへんで。