スナネコがとてもかわいい件。あるいは伝えたい正しい情報をどのように発信すべきかという話について。

こんにちは。
インターネットだけじゃなく動物も割と好きなフジイです。

X/Twitter や Instagram などSNSを眺めていると、かわいい動物の写真だとか動物の面白い動画なんかが流れてきたりするので、ついつい見てしまいます。

その中でも栃木県は那須高原にある「那須どうぶつ王国」は各SNSやYouTubeなどインターネットの情報発信が上手くてコンテンツの品質も高いと思ってます。

那須どうぶつ王国公式で作られている「マヌルネコのうた」は2年くらい前にSNSを中心に話題になったので、これをご存知の方も多いのではないでしょうか。
(ご存知なければ、すごく良い曲&MVなのでどうぞ視聴してみてください)

www.youtube.com

 

「スナネコのうた」もあります。

マヌルネコ以外にも那須どうぶつ王国にはスナネコ、サーバルキャット、カピバラなどなど人気のある動物も沢山いるんですよね。

www.youtube.com

 

 

で、実際に見に行ってみて来たんですが、スナネコの展示の横にこのポスターがあるんですよね。

スナネコの展示横にあるポスター写真

「飼いたい」
「触りたい」
悪気のないその一言が
野生動物を危険にさらします

密猟を防ぐため
野生動物は見て愛でましょう

 

このポスターの下にさらに詳しい説明があります。

お願いポスター写真

お願い
スナネコは野生動物です。
とても可愛らしい動物ですが、牙も鋭く、気性も荒く、人になつくことはありません。

決してペットとして飼いたいと思わないでください。

ペットとしての需要が増え、密猟などが行われると、野生のスナネコの数は減り、絶命へとつながる日が来るかもしれません。

(YouTubeの「スナネコのうた」の最後(1:50あたり)にも説明があります)

 

思わずスナネコに向かって「この説明がここにあるの、めちゃめちゃ良いねーーー」と口に出して言ってしまいました(スナネコに向かって言うな)。

目の前にめちゃくちゃかわいいスナネコがいる場所で「あなたがスナネコかわいいと思うことについて今一度考えてみてくれ」と問いかける展示になっているの、専門家の仕事って感じがして、本当に流石だなと思ったのですよね。

動物園の展示内容を考えている飼育員さんは生態調査や研究、教育などを行う専門家なんだと思うんですが、ただ「絶滅や減少の危険がある」と書くのではなく、来園者に考えさせる内容になっている。

木の上に座るスナネコ

スナネコって実際めちゃめちゃかわいいわけですよ。

だから見た人は思わず「かわいい」と言ってしまうことが多いわけで、それって飼いたいとか触りたいって思うところまでどれくらい近いんでしょうかと考えさせられる機会を多くの人に与えてくれているんですよね。この上手さが本当にすごい。

ただ「減少してます」とか「人による影響で」と書いただけでは、ここまで考えさせられる機会にならかったと思うんです。

専門家が本当に伝えたいことをYouTubeのコンテンツ(歌詞もちゃんと飼いならせない野生だということを示唆しています)だとか、展示の工夫に折り込んでいるのも凄いし、なによりも本当に伝えたいことをストレートに伝えているんではなくて、見た人が自分で考えて受け入れるような形にしてるっていうところです。

ただ専門家として伝えたいことを伝えるのではなく、相手がそれについて深く考えてしまうような形にして伝えられていることに、インターネットによる情報発信やマーケティングについて考えていることが多い僕としては本当に感心してしまったのですよね。

ヤマネコ米の画像

他にもツシマヤマネコの保護にもつながる環境保全をお米を食べることでできますよって案内があったり。

 

正しい情報や専門的な倫理観をそのまま発信するのも良いことではあるのですが、相手に伝わる形で伝えることができれば、正しい情報を知ってもらえた上に(動物園の運営などの)活動を継続しやすくなりますよね。

かわいい動物を展示して来場者を増やすだけでは良い仕事にならない、という強い意思と意図を感じる展示で、とても素敵だなと思いました。

ぼくも、自分の専門分野については、ただ正しい情報や専門的な倫理観をそのまま発信するのではなく、こういう姿勢で仕事したいなあと思った次第です。