僕たちがサービスを事業譲渡してCAMPFIREにジョインするまでの軌跡とこれから。

先日、リリースが出て少しネットで話題にしていただきましたが、僕の会社で開発・運営してきたSTARtedというWebサービスクラウドファンディングプラットフォームのCAMPFIREへ事業譲渡することになりました。

[blogcard url=”https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000044.000019299.html”][/blogcard]

事業譲渡といっても、今回のはいわゆるイグジットとかバイアウトという言葉からイメージされるような売却ではなく、あくまでもCAMPFIREと「一緒にやる」ために僕らSTARtedの運営チームごと合流、という形になります。「ジョインする」っていう方が適切ですね。

STARtedを運営開発しているチームメンバーはCAMPFIREの社員になり、僕は2017年からは株式会社CAMPFIREの執行役員を兼任します。

今回は会社ごとではなく事業のみ譲渡ということにしましたので、株式会社バンダースナッチは既存のEC事業と新規事業をやるために存続。
僕や創業メンバーは2社を掛け持ちです。数名いる社員はちゃんと話し合って全員CAMPFIREに移籍してくれることになりました。

いまいるメンバーはみんなSTARtedというサービスの方向性に共鳴して働きたいと言ってくれた人たちなので、これからも一緒に働けるということで嬉しい限り。

こういうブログを書くならリリース出てすぐ出した方が盛り上がるんでしょうけど、ご報告を書ねば……と思っているうちにか年末になってしまいましたね。

年末のこんな時間のブログ公開で、しかも書きなぐりの読みづらくて長い文章になってしまっていますが、年末年始のどこかお時間のある時にでも僕と仲間がやってきたこととこれからについてを読んでいただけましたら幸いです。

※書くだけで疲れちゃったので後日に読みやすくなるように校正したり修正いれるかもです

STARtedをつくるまで

STARtedは約3年前、2013年の暮れに社内の定例ミーティングで構想を話して開発がスタートしました。

その時は会社を作って2年ちょっとしたくらい。

「今は不安定だけど新しいことできる余裕が少しでてきた。今のうちに将来に向けて新しいサービスを作ろう。今の会社はイカダみたいな状態。海には出られるようになったけど大波がきたら木っ端微塵になって死ぬ。海に出られるだけで満足せず、いずれくる大きな波に耐えられる船を作りはじめよう。」ということをミーティングの場で話した気がします。

STARtedは「イラストが服になる」ですとか「(誰でも)つくりたい、がつくれる」がコンセプトのサービスです。
専門知識や大きなお金のない個人でもアパレルブランドを立ち上げできるサービスとしてスタートし、今は個人向けの小規模だけではなく企業向けの大規模な製造まで、あらゆるロットのあらゆるジャンルで服やバッグ・縫製品を作ることができるインターネット上の工場に成長しました。

更にその2年くらい前、つまり今から約4年くらい前に子供服ブランドをアパレルのことも分からずに力技で立ち上げたんですが、その経緯をブログに書いてからというもの、見ず知らずの方から「わたしもブランド立ち上げしてみたいんです。どうしたらできますか。」というご連絡をいただくようになりました。

これが誰でもつくりたいものをつくれるWebサービスであるSTARtedの源流です。

その当時は「お金たくさん必要ですよ」とか「僕らは仕事だから、専門知識を勉強しながら何とかやりきりましたけど、ちょっとやってみたいレベルならそこまでやれませんよね?」なんていう風に止めた方がいいですよ的な返答をしていました。でも、ご相談に来られた方ひとりひとりが個性的なアイディアを持っていたので(売れるかどうかは別として)そういった人たちが活躍できないのって良くないしインターネット的じゃないなと2年近く頭のどこかにひっかかってもいました。

事業資金といえるレベルのお金、専門知識、それから生産背景とのコネクション。
それらを全て、もしくは少なくともそのうち2つくらいはないと不可能というのが当時の常識でしたが、ある日STARtedの生産の仕組みを考えついて、協力してくれる工場やプロの方を探してみたら何とか段取りをつけることができたのがSTARted誕生の瞬間です。
(詳しい仕組みに興味のある方はSTARtedのサイトにもこのブログにも何度か書いているのでそちらを探してみてください)

ローンチ前にワールドビジネスサテライトに出た

今後も笑い話としてネタになりそうなのですが、当時の僕らは積極的な告知はまったくせず、どのくらい社会に必要とされているのかをテストすべくメールアドレスが登録できるだけのティザーサイトを1ページだけ作って放ったらかしにしていました。

そんな状態なのに、2014年4月にテレビ東京から電話が。

「このサービスをワールドビジネスサテライトのとれたまで紹介させていただきたいのですが」

まだローンチすらしていないのに初戦がボス戦みたいな電話がかかってきたわけです。開発を進めたりベータテストをしたりはしていたものの、こちらとしてはティザーサイトの登録が多かったらちゃんとやろ…といったユルい感じでサービス開発していたので青天の霹靂です。

そして、あれよあれよとその電話がかかってきて数日後4月18日にロケがあって、そのまま当日にオンエア。

トレたまキャスターの相内優香さんが書いた絵を具現化するという流れだったのですが、できた服を気に入って「今日、これ着てスタジオ出る!」と大興奮で言ってくださったのが嬉しかったですね(その後暫くは人に会うたびに相内さんかわいかった?しか訊かれなくなりましたwww)。

番組で紹介された反響も大きく、他のメディアからの取材はもちろん、協力してくださる工場やプロの方からのお申し出も増え、ローンチしていないのにいきなり下駄を履かせてもらった感じです。

まあローンチ後というか今でもテレビや新聞などメディアからの取材をいただくことが多く、ありがたい限りです。規模の割にこんなにメディア露出が多いサービスって珍しいんじゃないでしょうか。僕らの中にはPR担当もいないし、何もしていないんですけどね…。

思い返せば、この取材がなかったら今STARtedは存続していなかったかもしれない。運が良かったとしか言いようがないし、STARtedを見つけてくれたディレクターさんには感謝しかありませんです。

インターネットらしさ

もちろんビジネス的な収益構造なども考えてはあるものの、少し上の方で書いたようにSTARtedは起業2年ちょいの僕らが「既存事業とは別の新規事業として"育つかもしれない"サービスを作ろう」という会社のフェーズに合わせた考え方から生まれてきました。

ですので、ビジネス性よりもサービスとしての面白みや伸び代の優先度を高めて設計しています(ビジネス性もないと継続できないので無視しているわけではありませんが)。

ここで突然の個人的な話ですが、僕が初めてインターネットに触れたのは1995年くらいで、自分の個人ホームページを作ったのが1998年くらい。

1999年末からは当時のクソ重いノートPCをバックパックに入れて東南アジアやインドでバックパッカーをしていたのですが、当時はブログもなかったので現地でHTML書いてリアルタイム旅行記を更新するテキストサイトを運営していました。

沢山いる「現実生まれインターネット育ち」のうちの無名のひとりでしかありませんが、日本のインターネットの成長をリアルタイムに体験してきた世代であります。

そんな僕が会社のフェーズに合わせて設計したSTARtedには―――絵や映像・音楽などの各クリエイティブ分野のプラットフォーマーが展開したWebサービスがそうであったように―――できる限り参入障壁を下げて「誰でも活躍できるインターネット的な場」をファッション・アパレルでも、という思想が根幹にあったりします。

少しわかりやすく書くと、学生と主婦とプロが並んで勝負になってしまうような、そんな世界観を実現するために参入障壁をとことん下げて、アイディアやデザインがあれば誰でもプロと同じ製品クオテリィになる製造ツールと発表の場をセットで用意したわけですね。

2014年9月にSTARtedは正式ローンチしました。

継続させていくために考えた

誰でも有名ブランドと同じように製造ができる、恐らく世界で一番お手軽なアパレルSPAが始められるサービスであるSTARtedですが、YouTubeやニコニコ、Pixivといったデジタルコンテンツのプラットフォーマーのように無料で始められます!というようなサービスではありません。

従来と比較して桁違いに参入ハードルが下がったとはいえ、お金がかかりますのでプラットフォーマー的に数万~数十万というようにユーザーを増やせるような構造にはならないわけですね。

ユーザーが支払う金額をできる限り小さくしている上に、ユーザー数の伸びるスピードが遅いわけですから、このままだとサービスの継続性的にはなかなか厳しいものがあります。

そこで僕らは、サービスを始めて1年経過した2015年9月にリニューアルをすることにしました。

協力してくださる工場も増えに増えて、本当に「つくりたいが、つくれる」強力な製造背景を手に入れていたので、それまでの個人のブランド立ち上げだけに限定していたサービスに追加して、事業会社やECショップ、小規模ブランド向けにインターネットの工場として使っていただけるメニューを開放したのです。

BtoCtoCだけだったメニューにBtoBtoBを加えて、自由に使えるようにしたわけです。これは非常に効果的で、使っていただける機会が増えただけではなく、全体の製造量が増えたので従来のC向けブランド立ち上げのメニューの製造量やクオリティも上がるという効果までありました(アパレル商品開発、企業の制服、ノベルティ、コンパニオンの衣装などなど。ご利用をお待ちしております…!)。

また、B向けの場合は売上が立ちやすいので、その売上と利益を使ってC向けブランド立ち上げのメニューに投資を増やすことができたのも良かった点です。

踊り場(というのか分からないけど)をどう抜けるか

しかし、このSTARtedという事業を始めて2年を経過した今年の秋ごろから僕は焦っていました。

ビジネスは後回し。まずは良いサービスを先に作るという考え方で2年もの時間を使ってしまいましたが、これまで得てきた経験からSTARtedの今後を考えると「投資を止めて自分たちの身の丈にあった小さなビジネスに落とし込む」か「資金調達をする」かを迫られていたからです。

2年もサービスに投資を続けてきましたが「投資を止めて自分たちの身の丈にあった小さなビジネスに落とし込む」を選択すれば、「この規模のサービス」と割り切ってバランスをとり、自分たちの身の丈にあった小さなビジネスとして続けていくことになります。規模はあまり大きくありませんが、他に類を見ないユニークなサービスとして生き残っていくことはできるという選択肢です。

また「資金調達をする」という選択肢ですが、これも2年の間に何度もチャレンジはしてみていました。

メディアで紹介されたりイベントに出たりするたびにベンチャーキャピタルの方からお声はかかるので何度もご相談したり、実際にデューデリを進めたりもしていましたが、「面白いけどビジネス的に先の読めないC向けブランド立ち上げサービス」としては僕らが必要としている金額での資金調達は厳しい。そりゃそうだよな、という納得でもあるのですが。

1年前に追加したBtoBtoBのメニューはそれなりに調子が良く、アウトバウンド営業もしないで売上が立っていて伸び代もあります。
「アパレルでも個人が活躍する」というサービス思想を捨てて、toBの製造サービスにピボットしてしまえばエクイティでの調達可能性は高まりますし、調達できなくてもデットでビジネスを回せる良い事業になりそうではあります。

(あ。ピボットとかエクイティとかデットとか分からない人は読み飛ばしても問題ありません。なんでこんなルー語みたいになっちゃうんだろうねw)

小さくまとめてしまうのも、toBの製造サービスにピボットしてしまうのも、正直なところ面白みはないけど、どっちも悪くはない。

しかしそのうち創業メンバーと「これだ!これしかない!」という決断ができないなら、だらだらやらずにサービスをクローズした方が良いのではないかという話すらするようになっていました。

新たな方向性を見出す

折角ここまで育てた世界でも他に類をみないサービスをクローズするのもなあ…、しかしピボットや縮小均衡を選んで良いものかも決断がつかない。

そんなタイミングで、たまたまCAMPFIREの担当者の方がクラウドファンディングのプロジェクトのためにSTARtedを使って製品の製造をしてくれていた。
STARtedは割とゲームやITサービスなどの有名企業からのオーダーも多いのです。

そのプロジェクトに協力する中で、CAMPFIRE取締役の高村さんや担当者の方と何度か打ち合わせをさせていただいたのですけれど、「あ、この人たちとは一緒に働ける感じだわ」と思ったんですね。非常に感覚的な話ですが仕事の仕方とか目指してる方向とかにフィット感があったというか。

そう考えてみると感覚的な部分だけではなく、事業シナジーやサービスの方向性といったところもフィットしていることに気が付きました。

ご存知の方が多いでしょうがCAMPFIREはインターネットを通じてクリエイターや何かをしたい人・組織が不特定多数の人から資金を募るサービスです。
様々なアイディアや企画を実現するために資金と支援者を集めるCAMPFIRE。
対してSTARtedは、こんなものを作りたいという気持ちを現実の製品にするサービスです。

やりたいことを実現させるサービス同士ですから、方向性的にも完全にマッチしています。むしろ、ちょっとシナジーあるどころの話ではありません。クラウドファンディングを使って今までよりも更に金銭的な参入障壁を下げて、STARtedが機能したらすごいことになるのでは…

そこで、思い切って僕らのサービスの状況をお話した上で「CAMPFIREに僕らのサービスごとジョインとか検討できるものですか?」と正直にお話をしてみたんですね。

CAMPFIREに合流できるのであれば、ピボットするのではなく方向性はそのままに成長スピードを上げて、しかも今よりもより良いサービスにしていくことが可能になるだろうと考えたからです。CAMPFIREにとっても僕らの持っている製造力があれば強力な武器になるのではないかと。

CAMPFIREの担当者がSTARtedにオーダーをしていなかったら、こんな話をすることもなかったでしょう。このタイミングだったのは運が味方してくれたのだなとしか言いようがありません。こう書くと、なんか運だけで乗りきってるみたいですねw
もちろん、そんな運だけでやってきたわけですし、何よりユーザー・お客様のおかげですが運もそれなりに良い方みたいですね。

CAMPFIREにジョインすることに

CAMPFIREの社長である家入さんといえば上場企業GMOペパボの創業者で、他にも沢山のサービスを立ち上げたり、有名なサービスの創業に関わっている方。

僕の半径1クリックに家入さんと一緒に働いていた人は沢山いるものの、僕自身は家入さんと直接お話をしたことはなく、この件のご相談でお会いしたのが初めてでした。

家入さんはちょっと可燃性のある感じの方(←僕なりに気を使った表現)なんですけども、僕のお友達や知人で一緒に働いたことのある方からは「家入さんは良い人だよー」と言われていたので、過去に一緒に働いていた方から悪く言われないんだから人に好かれる人なんだろうなーと思っていました。そして、実際にお会いして「あ、本当にそうだわ」と納得。

家入さんの過去の経験とか最近考えていることは「さよならインターネット」という本に書かれているんだけど(PR)、これを読んでみて家入さんの考える「インターネット的なもの」って優しさとか許容のあるものなんだろうなと感じました。

[amazonjs asin="B01KFO1FJK" locale="JP" title="さよならインターネット まもなく消えるその「輪郭」について (中公新書ラクレ)"]

これって、僕がSTARtedを考えたときと近い理念や世界観だと思ったんですね。
家入さんは有名人だし僕なんて足元にも及ばないくらいの経験をされてきた方なので対比するのもアレだけど、同時代のインターネットを経験し続けてきて近い理念や世界観を持ったサービスをやってるという共通点がある。

CAMPFIREはサービスを通じてあらゆることの参入障壁を下げて「誰しもが声をあげられる世の中をつくる」ことを目指しているわけで、まさに完全に一致。

そんな背景から、サービスとチームごとジョインする話もすぐに「これはいける」となったわけです。

いや、普通そんな簡単に「これはいける」とかならないと思うんですけども、割とアッサリと決まりました。雑に意思決定したわけではなくて、お互いの考え方なんかのマッチ度合いを話してみたら短時間で理解しあうえたからですが。

超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてないチームごとの事業譲渡が決定したわけです。この規模では最速レベルで決まったんじゃないかな…。

STARtedとCAMPFIREのこれから

これからのSTARtedとCAMPFIREが一緒になってどう進んでいくのかは改めて冒頭に貼ったリリースを読んでいただくとして、僕がサービス開始当初に妄想していた素人の中高校生が立ち上げたブランドと、ガチのアパレルデザイナーのブランド、絵師が描いたアイテムが、ダダッと並ぶような楽しいカオスを実現できる準備が整いました。

CAMPFIREのクラウドファンディングとSTARtedのクラウドファクトリーを使って、ピュアなファッション分野から、面白い企画物、生地の産地や地方の工場と提携した地方創生事業などなどを総合的に実現する化物的なサービスになるまで育ていきたいなと考えています。

ちょっとギスギスした話が多い2016年のインターネット界隈でしたが、僕はSTARtedとCAMPFIREは「インターネットっぽい面白さと優しさがあるサービス」と思っています。手前味噌ですが。

急に決まった話ですし、まだCAMPFIREの中の人として仕事が始まっているわけではないので未知なことが多いのですが、そういう面白さと優しさを最大限に拡張させられるサービスと会社になるよう、これからも僕は僕にできることを全力で頑張ります。応援してくれたり温かく見守ったりしていただけましたら幸いです。

一緒に何かしたいとか「こんなことできる?」なんてご相談はどんどんくださいね。もちろん「一緒に働きたい」も。お茶しようよ程度のお気軽感で年末年始や曜日を問わず24時間いつでもご連絡くださいませ!

あ、創業メンバーだけの会社になっちゃいますが(社員と一緒に働き続けられるとはいえ、少し寂しいですね)、株式会社バンダースナッチの方でも新しくて面白い新規事業をスタートさせますんで、そちらも温かく見守っていただけましたら幸いですー。

レビューしたら3000円くれる飲食店があったんだけど、情報の重み付けって本当に難しい。

今日、食事をした店のメニューに堂々と「食べログに料理写真10枚以上、300文字以上のレビューを投稿したら3000円分の金券を送ります」と書いてあって目を疑った。

実際にその店で食事をした人にレビューをうながしているので、お店の人からしたらステマにあたるという認識ではないのだろう。対価を支払ってレビューを依頼しているんだけど。

はたまた、ステマではないけれど、以前にモール的なECサイトで買い物をした際に「ショップを5点満点の星で評価してください」というのがあった。星5つが「最高」で星3つは「普通」と書いてあった。

まあ、トラブルもなく買い物できたから普通かな…と思って星3つをつけたところ、出店者から「どうして5点ではないのか、何が不満なのか」という問い合わせのメールが何度か来た。
内容的には星5つじゃないなら、何か不満があったのではないかという感じで。

これはある程度仕方なくて「星3つが普通と書いてあるから3つ」と「よほどクソじゃなければ5つ星が普通」という異なる評価軸が混ざってしまうものだと思うけど、ショップからは必死さが伝わってきた。

そのモールは楽天ではないしメルカリみたいなCtoCでもないけど、5つ星を集めないとその後の売上に関わるんだろう。評価の仕組み上で仕方ないんだろうけれど……と微妙な気持ちになりつつ僕は5つ星につけなおした。

インターネット上の情報サービスは、「評価」がサービスの重要な核となっていることが多い。

Googleは世界で一番大量情報に優先順位をつけることに特化した企業だと思うけど、人間が検索した言葉に対してできるだけ適切に「必要とされているであろう情報」に重み付けをして並べている。

飲食店やECサイトの場合は、Webページの重み付けみたいにインターネット上にある要素だけではお店を探している人の意図を満たすことができないから、必然的に利用者からのフィードバックをもとに重み付けをすることになる。

食べログの場合は、単なる「集まった点数を積み上げてからの平均」ではなく新規ユーザーなどの評価を下げるなど「ユーザーの信頼度と評価でバランスさせる加重平均」をとっていることを売りにしていて、なるほど考えているんだなあと思う反面、飲食店側からは一部のユーザーの評価で結果が出やすいのはおかしいとか、美味しいという評価が一部のユーザーに偏るのはおかしいなんて話も出ていて難しいものです。
(ここらへんのアンチ食べログ勢も色々と香ばしいところがあるのですが、それは別の話なので今回は置いておきます)

冒頭に書いたような飲食店の場合は、お金を払って良い評価の数が増えやすくしている(悪い評価をする人は、次回の食事代が無料になるかどうかに無関係だから、3000円もらえることがキッカケで評価した場合は当然に良い評価に偏る)。

レビューを促進することはお店側からは合理的な努力に見えるかもれないけど、お金を払って他の店舗よりも高評価を受けやすい操作をしているわけだよね。
実際に3000円のもらってレビューを書いている人がどのくらいいるのかは分からないけど、それなりにはいそうな雰囲気はあった。

飲食やECモールの場合は、お店を使ったことがある人のフィードバック(レビュー)以外での評価だと、キュレーターからのリコメンドによる評価軸だとかもあるにはあるけれど、やはり2016年末現在では多くのお店に重み付けをするのだとしたらフィードバックを基にした評価軸に落ち着くは仕方がない。

以前もそんなようなことを書いたけれど、これは人工知能や大規模データの分散処理が発達して現在とは違う評価軸での計算が可能になったとしても、基になる情報がなかったり、方向性を誤っていたら検索者が欲しているような重み付けをした情報にすることはできないし。

冒頭の飲食店にしてみたら悪意はないんだと思う。
レビューがお店の売上に影響するから良いレビューが集まるように投稿を促したということなんだろうけど、評価の重み付けは操作されたものになってしまう。

あ、このお店の話に限れば是非を問うほどの操作では無いようにも思うし、それを叩きたいわけではないです。
評価とか重み付けって難しいなあという話をしたいだけ。

そういえば今年の3月にInstagram有名人の「Googleは使わない、SEO対策されているから」という発言が一部で話題になりましたね。SNSに投稿されている情報は(仮にそれが操作されていないとしたら)単に未加工な情報であるわけで、プラットフォーマーが汎用的な評価軸で重み付けしたものを嫌うのであれば、今度は写真などから得られる情報を自分の感性で評価する必要が出てくるだけでしかなくてそれがプラットフォーマーの汎用的な評価軸より優れているかどうかはその時々によるだろう(あながち間違ってもいないけど、評価軸が違うというだけの話かと)。

結局のところ、何かを評価するのに完全な方法というのは今のところ発明されていないってだけの話でしかないけど、利用したことがある人のフィードバックが力を持っちゃったから冒頭のようなことが起きちゃうんですよね。
楽天にも一時期「レビュー書いてくれるなら送料無料」みたいな店が増えたけど、同じ構造。

僕から特に何か「こうあるべき」ということが言えるわけじゃないんだけど、Gooogleみたいに世界最高峰レベルで重み付けが高度化されるのを待つか、評価軸が異なる複数のサービスから自分に合ったものを選べるようにでもならないと解決しないんだよね。そもそも解決するようなタイプの問題じゃないか。

オチは特にない。すまんぬ。

Google検索の宅配便追跡は、どうやって問い合わせ番号確認をしているのか

各地の運送業者で遅配が起きるくらい混乱しているみたいですね。
お歳暮やらふるさと納税返礼品、クリスマスの影響とのことですが、物流関連はそろそろ金額的にもサービス内容的にも限界かなーなんて思うことが増えてきている年末です。

さて、それはさておき。
今日は久しぶりに検索エンジンのお話。

なお、僕の個人的な興味感心に基いて書いているので、有益な情報や学べることはなにひとつありません。更に言えば、面白いネタですらないw
読み進める場合は、その点を覚悟の上でお読みください。

運送会社が発行するお問い合わせ番号。
通称「送り状番号」からの問い合わせはいちいち運送会社のサイトを開くよりもGoogle検索した方が早いのご存知でしょうか。

例えばこんな感じだったり。

ヤマト+送り状番号の検索結果例

https://www.google.co.jp/webhp?rct=j#q=%E3%83%A4%E3%83%9E%E3%83%88+1801-0188-6532

佐川急便、ヤマト運輸の他に日本郵便FedExも対応。
一部の運送会社は問い合わせ結果のURLが一意なんで、共有したいときは「お問い合わせ番号と問い合わせフォームのURL」を送って、相手に番号をコピペしてもらう必要があるのですがGoogleの検索結果URLならそのまま共有できるのです。

運送会社のWebサイトを開かずともブラウザから問い合わせが可能なのもいいですよね。

ところで、今日気がついたんですけど実在する送り状番号 1801-0188-6532 だと普通に検索できる。

https://www.google.co.jp/search?q=%E4%BD%90%E5%B7%9D%201801-0188-6532&rct=j

この数字をズラして1801-0188-6535とかにすると検索できなくて「佐川 1801-0188-6535 に一致する情報は見つかりませんでした。」になることに気が付きました。

佐川 1801-0188-6535 に一致する情報は見つかりませんでした画像

https://www.google.co.jp/webhp?rct=j#q=%E4%BD%90%E5%B7%9D+1801-0188-6535

うわー、実在している送り状番号でなければヒットしないってことなのか?

これどうやって実現しているのか気になる・・・!
(普通なりますよね?ならない?おかしいなあ…)

発送されていない(実在だけど未登録)の番号でも検索できるのだから、各社のAPIにリアルタイム問い合わせをしているわけではなさそう。発行済みの送り状のマスタでも持っているのか?

勘だけど…こういうやつはチェックデジットくさい…
送り状番号の発行ロジックを知らないんだけど、チェックデジット入れてるような気がしました。バーコードなんかでも使われている数列の誤りを検出したり偽造を防止するために用いられるものです。

そこで軽く調べてみたところ、最後の1桁は7DRチェック形式/mod-7(7で割った剰余)でチェックデジットになっているということが分かりました。

存在するわけがない送り状番号9999-9999-999だとしたら、
99999999999÷7=14285714285 と余りは「4」です。

[佐川 9999-9999-9994]の検索してみると…

佐川 9999-9999-9994の検索結果

https://www.google.co.jp/webhp?rct=j#q=%E4%BD%90%E5%B7%9D+9999-9999-9994

おお、ちゃんと検索できた。
実在かどうかではなく、チェックデジットを計算して「一致する情報は見つかりませんでした。」を出しているんですね。

理解できてスッキリ!!

…………うん、こういうの調べたところで誰も得しないのは分かってる。

分かってるんだけど、考えたり調べたりするの好きなんだから仕方ないのですよ。

Amazon Goはロジスティクスの思想と自動運転車のテクノロジーを使っている

やや出遅れた感じがありますが AmazonGo が話題になりましたね。

レジでの精算なしで買い物ができる食料品店。
1800フィートと説明があるので167㎡。約50坪なのでコンビニサイズかな。

[arve url="https://www.youtube.com/watch?v=NrmMk1Myrxc" align="center"/]

うおおおおおクールだ…。かっこいい。
動画を見てるだけでワクワクします。

この動画を見て思ったのは、日本の小売業がレジスターレスの店舗作ってもこんなに話題にならなそうだなあってこと。見せ方が上手いというか「未来キタ」感がある。
ワクワクしてもらえるような見せ方で伝えられているのかってのは自分の仕事でも気をつけるようにしたいと思います。

なお、この動画を見た直後の僕 ↓

しかし、ほんと何度見ても「ここで買い物したい」とか「自分の家の近くにできて欲しい」って気持ちにさせられますね…。

一般的な食品はもちろん、店内で作ったパンや地元のシェフが作った調理済み食品なんかがあるみたいで、小型のオシャレ食品店といった感じになりそうです。

この「レジのない店舗」AmzonGo、棚から商品を取るだけで自動的にスマホアプリのカートにも商品が入るとのこと。なんの操作もなく、手にとるだけ。棚に戻せばカートから商品が消える。
そして、そのまま店外に出るとAmazonアカウントで決済される。

これ、意味わからんレベルですごいな。魔法かよ。

Amazonは「ウォークアウト・テクノロジー」と呼んでいるみたいだけど、技術的にはどうやって実現してるんだろう。

僕が最初に動画を見たときには「これはRFIDだろう」と思いました(が違いました)。
RFIDは電波を出すタイプの商品タグで、商品の個体識別ができるから今後普及が見込まれている。

動画を見てAmzonの倉庫で使っている技術を転用しているんだろうなと思ったので、そういうロジスティクス(物流)関連といえばRFIDだろう紐付けて考えたわけです。

しかしどうもRFIDではないみたい。

AmazonGoのページにある解説を見ると、こう書いてあります。

How does Amazon Go work?

Our checkout-free shopping experience is made possible by the same types of technologies used in self-driving cars: computer vision, sensor fusion, and deep learning.

Our Just Walk Out Technology automatically detects when products are taken from or returned to the shelves and keeps track of them in a virtual cart. When you’re done shopping, you can just leave the store. Shortly after, we’ll charge your Amazon account and send you a receipt.

https://www.amazon.com/b?ie=UTF8&node=16008589011 より引用

"チェックアウトフリーショッピング体験は、自動運転車に使用されるものと同種類の技術によって可能になります(コンピュータビジョン、センサフュージョン、ディープラーニング)。"

うわー、なるほどな!

自動運転に使われているコンピュータビジョンは、カメラで周囲を判断して何が障害物なのかだとか衝突を防止したりするんだけど、道路や走行状況を判断するための画像認識技術。

それからセンサーフュージョンも同じく自動運転に使われている技術で、複数のカメラや複数のレーダーなんかを組み合わせて状況判断をする技術。
Google Carなんかを例に出すと複数の種類のカメラ、赤外線レーザー、ミリ波レーダー、車速センサーや6軸慣性センサー、GPSなんかを組み合わせて自動運転を実現しているんだけど、それと同じようにAmzon Goも店内中に配置されたカメラなどで「どの商品を」「手にとった」「棚に戻した」とコンピュータビジョンを利用した判断をしてるみたい。RFIDじゃなかった!

それから当然のように人工知能(ディープラーニング)を使っているとのこと。
これは識別精度を上げていくのに使うのかな。

Amazonは以前から良い意味で「小売ではなくロジ(倉庫)屋」といわれているんだけど物流の思想とテクノロジーで既存小売に差をつけているんだよね。
小売出身でロジ大好きな僕としては、かなり胸熱な流れです。

Amazon Goはロジスティクスの思想と自動運転車のテクノロジーを使っているんだな。

で、技術の話だとかカッコイイみたいな話ばかりしてしまったけれど、重要なのは「Amzon Goはどんな価値を生み出しているのか」ってことだと思う。

僕は以前から、こういう「何かの動作を省く」ということにすごく興味があるんだけど、家電とかIoT製品なんかで生活動作を減らしてくれるものが必ずしも良いわけではないという話があります。
センサーで自動で動き出してくれる家電とかは、最初は面白いけど、すぐに飽きるとか。

これは当然にモノによるって話なんだけど、同じようにワンアクション減らすものでも例えば車のキーレスは一度体験したら戻りたくないレベルで快適性が上がる。
たったワンアクションなのにね…。

Amazonは18年くらい前からワンクリックで買い物する技術の特許をもっているわけだけど、これも車のキーレスも「アクションを減らすこと」よりも「何をしたら快適なのか」を中心に考え抜かれたものなんじゃないかと思う。

何かのアクションを減らすだけではなくて「それによって何が快適になるのか」って体験が重要ってことだよね。言葉にすると当たり前すぎることだけど。

執念を燃やしていると言っていいレベルで、そこを考え抜いているAamzon。
僕も凄いなーとか言ってるだけじゃなく見習って執念をサービスに変えるようなことをしなくてはならないですね。
がんばろう。

Googleローカルガイドの設計がよくできてて感心しちゃうし、Googleマップの今後が楽しみ

昨日もGoogleマップについてブログを書いてしまいましたが、同じようなことをまた書きます。

Googleマップは今でも素晴らしいサービスですけれども、スマートフォン経由でデータを大量に取得しまくって数年したら、飛び抜けて凄いサービスになっていそうな気がしています。

少し前に書いたディープラーニング(AI)の話にも近いところがあるのですが「多くの人間はこのように移動する」というデータを大量に、しかも正確に取得できるわけですから、10年後は地図の概念が変わるんじゃないかとかとか思うわけです。地図とかいう概念を超えたものになるかも。

そして前回と同じ話を繰り返してしまいますけども、走行中の車の中にあるスマートフォンから移動速度を取得・比較して「渋滞情報」をリアルタイムに出すくらいは数年前からやっているわけで、これからは移動の軌跡や滞在時間なんかを主体にしたデータを使ったアレコレがどんどん出てくるんだろうなと思っています。

先日、Googleマップのタイムライン見ていたら「オートバイ」での移動というのを見つけました。
………おいGoogle先生、アンタどうして僕が自動車じゃなくバイクで移動したと知っているんだい……?

スクショ

移動速度や走行中の位置などで機械的に類推しているっぽいのですよね(裏取りしていないので正確な情報ではないのですが)。
電車、自動車、オートバイ、徒歩などが自動で判別されています。

あと、スマートフォンGoogle Nowカードに「いまここに駐車中だよ」という表示までしてきました。
もちろん僕は何もデータを入力したり選んだりしておらず、ふとスマホ見たらこれが表示されていました。
移動速度なんかから識別して、ここに停めたと機械的に判定しているんですな。

駐車位置のカード

実は誤判定も多いんだけど、もう少し精度があがればホントに「移動速度や滞在時間から勝手に識別する」というところまで来そう。

これ、ほんと凄い。オフラインも含めて取れるだけ情報を取ってる。
まだ大したことないけれど、これが数年してきめ細やかなサービスに錬られてきたらと思うと数年後の近未来が楽しみです。

Googleローカルガイドが楽しい


それはさておき、今更ながらGoogleローカルガイドにハマっています。
Pokemon Goはあんまり起動しなくなっちゃったんですけど、Googleローカルガイドは良い感じにプッシュ通知を入れてくるんで続いてます。

ラーメン屋さんで食べる前にラーメンの写真撮ったら、「ねえねえ、ラーメン屋で撮った写真ローカルガイドにアップしてよ」的にスマホから話しかけてくる感じのプッシュが来ます。滞在時間と写真のexif情報からとってるのかな?わからんけど。

僕はWebばかりでアプリの設計に関わったことがあまりないのですが、ブロードキャストじゃなく、ここまできめ細やかに個別のプッシュ通知してくるサービス見たことないよ。
すげー!!自分の関わるサービスでも何かに応用したいいいいってプッシュ通知来る度に毎回思ってます。

いちいちお店にチェックインする操作とかがないのが、ともかく楽だし面倒くさくならない。
現在地や過去のロケーション履歴から「こないだ行ったお店どうだった? 静かな店? 旅行者に人気?」って質問をしてきたり。

これにポチポチ答えるとレベルが上がるので、なんとなく楽しくなっています。
近所にできた新しい飲食店があればどんどんGoogleマップに追加しちゃう(情報追加や修正、写真なんかがポイントになってレベルアップする)。

そういう風にロケーション履歴から自動で質問してくるし、自分から入力する場合でも行った場所を思い出さなくても訪問済みの場所はリストになっているわけだし(ちょっと生々しい履歴だから見ると怖いなと思うこともあるけど)。

ホントよくできてんなー
Googleクラスのクオテリィなんだから、よくできてるに決まってるんだけど、それでも感心しちゃう。

冒頭で書いたような機械的な処理と大量の人力の組み合わせ方が天才的というかGoogleらしさを感じて好きです。
ゲーム感覚でやれる割に、ローカルガイドは地図上の情報を増やす役割があるので、インターネットをより良くすることに繋がるってのもモチベーションになりますしね。

どのくらいの人がローカルガイドをやっているのか分からないけど、僕はやっとレベル4。
できるだけ継続して情報をポチポチしていきたい所存です。

メルカリ二次創作物の公式流通プラットフォーム構想、「宇宙兄弟」が成功事例になったら凄いこと起きるかも。

今年の6月から始まっていたんですけども、メルカリが「Ingress」の二次創作物をメルカリを通して販売する場合に公式ライセンスを付与して、権利者にライセンス使用料をを支払うというのを始めていました。

で、今日発表されたのが「宇宙兄弟」の二次創作物に公式ライセンスを付与する(そして権利者は二次創作物でもライセンス使用料をがもらえる)仕組み。

[blogcard url="https://koyamachuya.com/campaign/mercari"] [/blogcard]

6月にこの仕組みが始まったばかりでIngressだけだったころは、「すごい」と思いつつもそこまでマークしていませんでしたが、「宇宙兄弟」という人気の漫画作品で実績ができたら、ライセンスビジネス周りとかへの影響が凄いことになるかもしれないなと思っています。

これが6月の時点でメルカリのリリースにあった図。
この時点で既にIngressに限らない「二次創作物の公式流通プラットフォーム」を形成していきたいみたいな発表がされていたわけですね。

メルカリ二次創作物の公式流通プラットフォーム構想

https://www.mercari.com/jp/info/20160613_ingress/より引用

ぶっちゃけ、ウチのサービスでこういうのやれないかなーとか僕も考えてたんで、やられた感はありました。
とはいえライセンスもの作ったり、そこらへんに関わったことある人なら、こんな感じのスキームで自由に公式グッズ作れるようにってみんな一度は考えたことあるような仕組みなので「僕も考えてたわー」ってドヤっているわけではありません。

どこかでチャンスあらばウチでもやれるかもしれないけど、やっぱり力のある著作物もってるコンテンツホルダー・ライセンサーって自由度を高めたいってより保守的なところあるんで、スキームは作れても「確実に多くの人が使うであろう」という確信がもてる形になっていないと権利者が納得しないから機能しないだろうなと。

そこは流石メルカリ、ちゃんとワークしそうな形にまで持っていっていてて凄いなあと思った次第です。すげえなあ。

二次創作・同人グッズ市場はこれからも伸びる

で、二次創作グッズって今すごい増えてるわけですよね。
通販に限って話しますが「公式グッズ通販」という市場の影に「同人グッズ通販」という市場があって、ご存知ない方が流通量を聞いたらビックリするくらい売れているわけですね。

同人関係に疎い方だと(僕もそんなに詳しいわけではないのですが)同人マーケットは「同人誌」しかないものと思っているかもしれませんが、衣類・バッグ・アクセサリー・スマホケース・雑貨などなどなど「同人グッズ」市場は大きいし種類も多いのです。
最近だとアクリルキーホルダーがアツい気がします(何)

まあ、そんな感じでマーケットはそれなりにあるわけですよ。

で、当然これらは「あくまでファン活動の範囲」としてライセンスをとっていない・ライセンス使用料を払わないで販売されている商品です。
ちゃんとライセンスとってる公式グッズより売上規模が大きくても。

それに対してライセンスをとっているグッズを作っている企業は、ライセンサーに頭下げて契約書とりかわして、販売計画や企画書を提出して許諾をとって、無償でサンプルを提出(提出数が多い契約だとサンプル代がバカ高くなるわけです)して、量産したものをリスクとって在庫して、契約にもよりますが売れなくても生産数に応じてライセンス使用料を支払うというようなことをしているわけですね。

「公式流通プラットフォーム」になったら凄いことが起きるかも

ここから先は僕の妄想が入っていますが…「宇宙兄弟」クラスのメジャータイトルで成功事例が作られて、メルカリの「二次創作物の公式流通プラットフォーム」が「プラットフォーム」といえるレベルになるまで参画するライセンサーが増えたら、ライセンスビジネスの歴史に残るような凄いことになるのではないでしょうか。

今回の「宇宙兄弟」は公式素材が配布される(使わないでも良いみたいですが)ようですから、同じように公式素材を配布するコンテンツが増えたら、ほぼほぼグッズ企画会社と二次創作のファンが横並びに近い状態になります。

そして、もしも「公式ライセンスが付与できる作品がこんなに沢山あります」的に公式ライセンスを付与できるコンテンツがカタログみたいに並んでいる状態になったら、ちゃんと契約書を交わしてライセンスビジネスをやってきた企業が作ったかどうかなんて関係なくなるのかもしれませんよ。あくまで僕の妄想なので実際にどうなるのかはわかりませんが。

二次創作の同人グッズが売れても作家やライセンサーにはお金が入ってこなかったわけですが、かといってファン活動はしてもらった方がコンテンツホルダー的には良いから、それらがバカ売れしていても権利を主張はしない。同人活動をするファンとライセンサーはそんな微妙な関係性だったわけですが、「公式流通プラットフォーム構想」が機能したら作家などの権利者は二次創作からもライセンス使用料がもらえるかもしれないと。

これは作家にとって、かなりプラスになるかもしれません

とはいえ、課題もあります。
ライセンス使用料を払わず非公式で売る二次創作・同人グッズの方が数は多いでしょうから、その住み分けというかライセンス使用料を払うメリットをどうするんじゃいと。

「公式流通プラットフォーム」を通してライセンス使用料を払っている人が払い損するようになったら面白くないですもんね。今でもファン活動としての同人グッズ販売はライセンス使用料を払っていないわけで、今後も使用料を払っていない同人グッズに対して権利者が権利主張するってわけにはいかないでしょう。

そこらへんの解決策をどうするか考えてしまうところはあるものの、素晴らしい仕組みには変わりませんね。いや、ほんとメルカリすごいなー。
最初に「Ingress」の許諾を出したナイアンテックやメジャー作品である「宇宙兄弟」でやろうって話にしたコルクも凄いけど。

僕は個人的にワンフェス当日版権システムとか最高にクールだなーと思ってるタイプなので、こういうインターネットっぽい仕組みが世の中に増えていくのは歓迎です。

本当は僕が自分でやりたかったけどねw

マッチングで解決するという思い込みだとか、ディレクションの重要性だとか。

タイトルにも書きましたが、世の中で求められているのはマッチングよりもディレクションなんじゃないかなーという話を書いてみようと思います。

僕の会社でははイラストやラフ画などを元に衣服やバッグの製造ができるSTARtedというサービスを運営しています。
本来は発注側にも専門知識が求められるアパレルの物づくりを誰でもできるようにしたいと考案したものです。

[blogcard url="https://started.jp"] [/blogcard]

知識がない方でもアイディアとデザインさえあればブランドを作れますし、ゲームやアニメ関連などの事業会社の担当者さまから「こんなもの作れますか…?」といった風にグッズのオーダーがあったりもします。

こんな感じの説明をすると「工場とのマッチングサービスですか?クラウドソーシング?」と聞かれるのですが、そうではありません。

ロゴを作りたいとか、印刷をしたいみたいな単一タスクならマッチングとクラウドソーシングでも割と機能するのですが、「衣類やバッグを作る」といった複雑な工程の場合に必要なのはマッチングではなくディレクションだと考えているからです(言うまでもありませんがロゴ製作や印刷はディレクションなしで良いという意味ではありません)。

サービス運用負荷はマッチングの方がはるかに楽だしコストもかからないのですが、ディレクション抜きでは機能しないのでSTARtedの場合はお客様が作りたいアイテムのディレクション、つまり製品仕様の要件定義から調達・製造ディレクション、スケジュール管理などは全てSTARtedがとりまとめて行うようにしています。
(STARtedの場合は、そこを機械的な要素と人間的な要素の両方で対応しています。運用負荷を考えると全て機械にやらせたいとも思うけど、やはり人間の目は需要なので。)

これは衣類やバッグを作る場合に限らない話のようで、大手クラウドソーシング2社を見てもディレクションも含んだプランが出てきているようですし、知人のライターさんも編集や監修の仕事が増えたと言っていたりしますし。

そんなわけで、衣類やシステム、コンテンツ製作などもそうですが、発注要件をまとめること自体に経験や知識が必要な内容だと、ディレクションが非常に重要になってくるのだと思います。

また、アパレル製造やシステム開発など、その業界のプロトコルといえるような「仕事の進め方」にそって動けるかや「業界標準的なドキュメント」を用意できるかなどが重要で、それができない相手から仕事を受けるのを嫌がる企業が多いので、そもそも発注主の都合に合わせてマッチングしても、受注側が断ってくるなんてことはザラにあるわけですからマッチングが機能しないことの方が多いように思います。

また、マッチングといっても、たとえばSTARtedの提携工場は400くらいあって、雑に説明すると下図みたいな感じになっています。

アパレルのものづくりは分業化されていることが多いので、お客様(ユーザー)の作りたいアイテムに合わせて「このアイテムなら生地はここで手配」「こういうテイストのものは、このパターンナーが得意」「この仕様だと、工場Aの設備では無理だから工場Bで裁断して、工場Cで縫製、プリントは工場Dで、仕上げ加工は工場E」なんていう風にアイテムや条件に合わせて工場群の中から一番適切と思われる職人さんや工場が選定されていきます。

マッチングすること自体にディレクション視点がないと難しいわけです。

検索をはじめとして様々なインターネットサービスのおかげで、割と単純なマッチングだけで解決できるようなものごとの多くは(インターネットが普及する前に比べて)簡単に解決できるようになりました。

それもあってか解決されていない問題に対して『マッチングさえ何とかすればどんどん問題解決される』と考えている人が結構いるように見えます。特に新規事業のサービス設定とかするときに安易に「マッチングすれば~」なんて言ってしまいがちではないかとかとか。

しかしそれは違うと思うのですね。
2016年でも解決されていない(一見マッチングの問題に見えるような)課題のほとんどは単純なマッチングでは解決しづらく、ディレクションを主に考えないと解決できないことが多いのではないかと僕は考えています。衣類やバッグを作りたい人と工場を直接つなげても解決できない(ことが多い)ように。

もちろんディレクションも万能ではありませんが、ディレクションとマッチングをセットにしないと解決できないことが増えてきて、ディレクションの重要性がどんどん増しているような気がします。ディレクションとマッチングをセットにして運用するのはそれはそれで大変だけどね。

「自分は影でいわれなき悪口を言われて叩かれている」という人の話。

ご存じの方はご存知だと思いますが、僕はツイッター大好き。
昨日のブログではてな匿名ダイアリーへの歪んだ愛を告白しましたが、ツイッターも大好きです。ツイッターが落ちると不安になって手が震え出します(←ヤバい)

で。
ツイッターを眺めていて「自分は影でいわれなき悪口を言われて叩かれている」と言っている人を同時多発的に見かけたので、今日はその話を書きます。

ネットでその人の文章や事業や思想なんかが評価されてきてる・ファンがついてきてるなと、「その界隈では知られた感じ」になってきている人たちっていますよね。

そういう方たちの全員ではなく一部ですが、何故か共通した振る舞いを始める人たちがいるんですが、それは

「自分は、影でいわれなき悪口を言われ叩かれている」

というような事をある日が言い出す人が一定数いる、ということです。

以前は僕も「ああ、この人もプチ有名人になってきたから目立ってしまってアンチが湧いてるのかな。かわいそうに。」という風にも思っていたのですが、ある時ふと気になってツイッターを検索したり調べたりしてみたところ「こんなことをネットに書かれている」と言われている発言が見当たらないか、一人か二人みたいに気にしないでいいレベルの極少数だったりするんです。

ネットウォッチ好きな人ならお分かりかと思いますが、「叩かれている」ってそういうもんじゃないですよね。叩く人「たち」と呼べるくらいの「ひとのかたまり」が存在するだとか、そういうレベルで可視化されているものじゃないでしょうか。

あくまでも僕が軽く調べた程度ですが、ある日から『「自分は影でいわれなき悪口を言われて叩かれている」と言い出すスイッチ』が入っている方に共通して、調べてみると叩かれているとは言い難いんじゃないのという状況が多い気がします。

自分は影でいわれなき悪口を言われて叩かれているという発言に対して、ファン的な人たちから「そんなやつはほっとけばいいんですよ」とか「私はあなたが大好きです」「アホはどこにでもいますよ」といった温かな声援が飛ぶわけでして。

あれこれもしかして共通の仮想敵を作ってファンのロイヤリティを高めているんではないかとかいう邪推というか、邪推じゃなくて事実そうだよね、いやーんこの人そういう人だったの見てはいけないものを見てしまった的な気持ちになるわけです。恐ろしい恐ろしい。

僕が悪くとりすぎだとか、僕の調べが足りないとか、その発言をしている人しか分からない繊細な背景とかあるのかもしれませんけどもね。
もし、そのひとに千の賞賛があっても喜べず、一人から嫌われることに異常な嫌悪があるのだとしたら、それはそれで怖いなあとも思います。たぶん、そうではないような気がしますけれど。

念のために書きますが、これはネット眺めてて「そういうのってあるよね」という感じで書いたものであって、特定の誰かを遠回しにDisっているわけでもありませんから、これを読んで「もしかして、これ自分のことを書いてるんじゃ…」と思った人がいたとしても、「自分をDisっているブログがある」とか書くのはおやめくださいね、マジで。

悪しからず、悪しからず。

『コンプレックス・エイジ』


STARtedのオフィシャルブログに詳しく書きましたが、『コンプレックス・エイジ×STARted』コラボ企画はじめました。

今週発売のモーニングにも、どどーんと掲載いただきまして、

撮影サンプルまでに修正が間に合わなかった弊社側の都合で、再現クオリティが低いサンプルでの掲載になってしまったのが悔やまれます...(まさか、こんなに大きくとりあげていただけるとは...甘かったです...)申し訳ありません...


  
オフィシャルブログには書いてないのですけども、講談社さんに行ったときに著者の佐久間結衣さんのサインをいただいたのです。わーい。

IMG_20141121_175237.jpg

これ見て元気だして頑張ろう。


海外サービスをパクったビジネスの方が評価されやすいのどうなのとか愚痴っぽいアレ。

いい年ですがニコ厨な僕です。こんにちは。

ドワンゴ川上量生さんがニコニコ動画を作ったときの考え方について語った2011年ごろの動画がありまして、それを今日になってログミーというサイトが文字に書き起こしていたので読んでみたら、すげえ面白かったのです。


(動画は見てないけど元ネタを大切にするために貼っておきますw)



読んだのは、これ。

ゲームの開発会社からネットカルチャーの一角を担う企業へと成長したドワンゴ。その代表である川上量生氏が、2011年にTechCrunch Tokyoで語った、ニコニコ動画をつくったときのエピソードがすごすぎたので書き起こしました。「人は機械に理解できるほど単純じゃない」「わけのわからないものだからつくる」など、常に常識の逆をいく氏の発想には、ネットサービスを考える上でのヒントが凝縮されていました(TechCrunch Tokyo 2011より)。



「いかにネットの常識を無視するか」 川上量生氏がニコ動をつくったときの"3つの発想"がすごすぎる | ログミー[o_O]

詳しくは動画を見てもらうか、書き起こしを読んでいただくとして、僕の感想は

うん、すごい。
すごい頭よすぎてマネできないやつだ、これはw

と、思いましたw

もちろん、個人がアパレルブランド作れるサービスSTARted を立ち上げようとしている時期なので、事業の設計思想として共感できるところもあれば、「こんなの僕には同じ考え方できないなー」と思うところもあり、色々と考えさせられる内容でありました。

特に僕がビビッときたのは、日本とアメリカ間の情報格差みたいなものを利用したビジネス姿勢や、ユーザー関係ないところでの「どうやって儲けようか視点」を小気味よくこき下ろしていらっしゃるあたりですねw

サラッとイベント主催者とオーディエンスもDisってるしw



僕のような小物がドワンゴ川上さんの話に共感しましたなんて、おこがましい話かもしれませんけども、ちょっと自分の話を。

最近『STARtedは、どこのサービスのクローン(真似)ですか?』って、よく訊かれるんですね。
もちろん、言葉はもっと遠回しだし悪意なく質問いただくわけですけども、ほんと、かなりの頻度で質問されます。

僕としてはこれ質問されると、とてもモニョるんですよ。

「僕が知らないだけかもしれませんけど、類似サービスはないと思います。」って答えると、相手は「あー...そうですかー(棒読み)」ってなってしまうのです。

海外で実績あるサービスをいち早くクローンしたサービスだと評価しやすい(日本に市場があるかと、タイミングが合ってるかだけで評価できるからね)ので、STARtedをどう評価していいかわからなくなってしまうのでしょうね。
実績あるものの方が安心感あるから、理解はできますけど・・・。

これって、まさに、ドワンゴ川上さんが強く批判した日本とアメリカ間の情報格差みたいなものを利用したビジネス姿勢や、ユーザー関係ないところでの「どうやって儲けようか視点」じゃないですかー


海外で流行ったサービスを「これ最高に面白いから自分もやりたい!」っていうのは、まあアリだとしても、海外で実績あるサービスをパクった方が評価できるってのは、あまり良い姿勢とは思えないのですよね。

もちろんこれはポジショントークでしかありませんが(笑)




追記:
誤解されないように追記しますが(されてもいいけれど)、僕自身は海外サービスのクローンを別に悪く思ってはいませんからね。ドワンゴ川上さんは強く批判されていますけども。
あくまでも僕は評価する姿勢について書いていますので悪しからず。