今年に読んでよかった「ニンゲンの不合理と付き合う」ための本まとめ (今年じゃないのもちょっとあり)

本をよく積みます。よく読むではなく、ともかく積んでいます。

毎週土曜の朝から積読を強制的に消化する会というのをオンラインでやってまして、「誰か来るだろうから起きて読まなくては……」と強制力が働くことで本を少しずつ読むことができています。参加者のみなさん本当にありがとう。

時期によって人が増えたり減ったりして、ここ最近は数人しかいない状態なので新規参加者を募集しております。誰でも参加できるので参加してみたい方は連絡くださいな。

 

というわけで、今日は読んでよかった本をまとめて紹介していきたいと思います(今年じゃないのもちょっとあり)。

まとめてみたらニンゲン的な原理や不合理と付き合うための本がほとんどでした。そんなテーマをもって本を買ったり読んだりしてるんじゃないんですけどね……

「この本、自分も読んだよ」とか「面白そうだから買ってみた」なんてコメントや反応もらえたら嬉しいです。

 

測りすぎ――なぜパフォーマンス評価は失敗するのか? 

この本は面白いので是非。

計測している指標すべてが重要なわけではないし、むしろ重要なものすべてが計測できるわけではない。至極当たり前のはずのことなのに社会では定量評価が有害になることが多いという事例を描いてる本。

最後の章でどうしたらおかしなことにならずに定量計測できるのかのチェックリストがあるんで、そこだけでも読んで欲しい。

そこの章の各見出しだけ定期的につぶやくSlack Botを入れるだけで幸せになれるチームもありそうってくらい有益。

で。この「測りすぎ」とセットで読んだら面白いなーというのが「事実はなぜ人の意見を変えられないのか」という本。

 

事実はなぜ人の意見を変えられないのか-説得力と影響力の科学

この本もめちゃめちゃ面白い。
例えば、「なぜ人は専門家を頼るタイミングを間違えるのか」とか「賢いはずの人がどうして判断を誤るのか」というようなことが書かれています。

一部引用しますが、ここだけでもう面白すぎるんよね。。

それどころか認知能力の優れている人ほど、情報を合理化して都合の良いように解釈する能力も高くなり、ひいては自分の意見に合わせて巧みにデータを歪めてしまう。だとしたら皮肉な話だが、人間はより正確な結論を導き出すためではなく、都合の悪いデータに誤りを見つけるために知性を使っているのではないだろうか。

 

 話し合いの作法  「対話と決断」で成果を生む

企業・組織の人材開発やコミュニケーションなどを研究されている立教大学経営学部教授の中原淳先生の本。ぼく、中原淳先生のファンなんですよ。

繰り返しで定期的に再読したいくらい良い本なのでおすすめ。

 

経営学習論

同じく中原淳先生の本。カジュアルに読める「話し合いの作法」と違ってこっちはガチめのやつなんで、こういうのが本当に好きな人向け。

このツイート見て「おっ」と思う人にはオススメできると思います。

 

PRINCIPLES(プリンシプルズ) 人生と仕事の原則

サブタイトルの通り「人生と仕事の原則」が書かれていてレイ・ダリオのような凄い人が失敗を繰り返して得た原則が説明されている。
雑に要約すると「ニンゲンは面倒なことや辛いことが嫌いだけど、欲望は強いって原則があるんでそこを上手く刺激する方法があるよ」みたいなことが書かれている。

でもハックとかテクニックって感じじゃなくて、まさに「原則」と言えるような内容。

買ったけどずっと積んでいた本。だって分厚いし、見た目の攻撃力が高くてちょっと気後れするんだもの。

内容的には自伝みたいな感じなんであまり読みやすいとはいえないのだけど、実は赤いページだけとか太字になっているところだけ読むので内容的には理解できます。 

定期的にアナグラムの阿部さんが「人生で最も感銘をうけた書籍はレイ・ダリオのPRINCIPLES」ってツイートしていて、そんなに良いのかーと思って買ったのですよね。

もっと早く読んでおきたかったなーという内容ではあるので、オススメです。

ちなみに分厚いですけど、最初は飛ばし読みのがラクで良いかもしれません。

 

THE FORMAT

キャスター取締役、石倉秀明さんの本。

この本では様々な状況、例えば人に依頼するときや忙しい上司から承認をとるときなどに合わせて「これだけ書いておけば伝わる、逆にこれくらいは埋めないと伝わらない」フォーマットを紹介してくれている本。

このツイートの通り、このフォーマットで伝えなさいと仕立ての本なんだけど、むしろ「なぜこのフォーマットなのか」を説明していて、仕事ができる人のコミュニケーションはどうなっているのか分解した本といえるかと。

ついつい必要な情報すらも端折って伝えてしまう自分たちが持つニンゲン的原理・ニンゲン的な不合理と上手く付き合うための方法論としての「フォーマット」。

 

 チームトポロジー 価値あるソフトウェアをすばやく届ける適応型組織設計

2022年の元旦から読んだのが「チームトポロジー」
元旦から読書したから年末までほぼ休まずに土曜日の積読消化会をやれたのかなw

チームトポロジーは、ソフトウェア開発で高速なデリバリーを実現することを目的とした、組織アーキテクチャをと実践方法が書かれた本です。

タイミーやRettyあたりがガチに取り入れていて、最近だとLayerXとかUbieも実践を始めているという感じかと思います(ネットの記事で読んだ程度の情報ですが)。

「トポロジー」というだけあって、人間の集まった開発組織をパフォーマンス出やすい組織にする要素や相関を抽象化したダイアグラム、モデルが書かれています。もう少し説明すると(どうしても複雑なものだから分かりやすくならないけど)、組織・ビジネスに必要な機能をモジュラー化して各モジュール(≒チーム)のAPIつまりコミュニケーションの振る舞いをモデル化するという組織アーキテクチャです。

自分で書いていて説明になっていない気もするけど、そういう本なんです。ぜんぜん簡単じゃないし、開発組織系でもかなり上級者向けの本だと思います。

読んで良かった本のではあるけど、ぼくも理解できてる感じではないので詳しい人の解説を聞きながら勉強したい本って感じです。

 

ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか? 

ノーベル経済学賞のダニエル・カーネマン代表作。

素早く自動ともいえる判断や意思決定ができる「ファストな思考(システム1)」と、論理的な判断をする「スローな思考(システム2)」がどのように働いているかを実例や実験結果を交えて説明している。想像以上の不合理な結果に「そんなことある⁉」と思わせられながらも、錯覚や思い込みの影響がどのようにあるかについて納得の説明をしてくれる。

どうせ「直感的なシステム1は不合理で、論理的・理性的なシステム2を上手く使うべし」という本だろうと思って読み始めると、実際は「あなたが思っている以上にシステム1は凄い能力をもっている。ただしコントロールできない。」というような真実を突きつけられる。

この記事で紹介している多くの本がそうであるように、ぼくは「ニンゲンが自然にする不合理をいかに受け入れ、それを良い方向性に使うか」ということに凄く興味がある。

そういう人間の原理的なところを説明したものなので発売から数年経っても色あせません。というか、むしろ2020年台に読んで面白いかもしれませんね。

未読の方には是非とおすすめできる本です。

 

NOISE 組織はなぜ判断を誤るのか?

ちなみに今まさに読んでるところなのですが、

同じダニエル・カーネマン本でこちらも良いよとオススメされたNOISEも面白いです。まだ途中までしか読んでないけど。

 

数理モデル思考で紐解く RULE DESIGN -組織と人の行動を科学する-

ルールはときに面倒なだけだったり、みんなが守れないルールが作られたりします。この本は、ルールが上手く機能しないのはどんなときかというアプローチから、どのようにルールをデザインすれば良いのかという核心に近づいていくという面白い本です。

人間の不合理な部分をルールでカバーすることもできるし、逆に不合理さによってルールが破壊されることもあります。そこを解説してくれている良書。

なにかのルールデザインをするときにはこの本を読み返したいなと思っています。

 

LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる

「話を聞くこと」についての本。

いや、邦題ではこの副題にしなくても良かったんじゃないか?w

この本の広告とか、Amazonでの説明なんかだと「聞く技術」の本っぽい感じのことが書かれているのだけど、実際の本の内容は違う。

よくある「傾聴のテクニック」はすべて偽物であり、そんな嘘のテクニックなど使わずにちゃんと相手に向き合え、というようなことが書かれている。なんかスカッとしますねw

会話のためのテクニック的な質問ではなく、本当に相手への興味を持った問い掛けができるかということが問われる感じ。

かなり分厚い本だけど、なるほどと思わされることも多い良い本だと思います。

 

 

感想戦したい & 2023年もインプットを増やしてがんばるぞ

他にも読んだ本を紹介したかったけど、今日はこれくらいにしておきます。

「この本は自分もすごく好き」って人と感想戦やるの大好きなんで、ぼくが紹介した本好きな本が被ってる人は声かけてほしいです!

 

さてさて、来年も良い本に出会えるといいな。