「この考え方は正しいか」ではなく「この状況に合っているか」で考えたい

いろいろな事業の起ち上げやグロースに関わっていると、時々思うことがあるんで今日はぼんやりそれについて書きます。ぼんやり。

事業やサービスを伸ばすのに、ともかく手数が大事なときがあるなーと思うこともあれば、急がば回れ的に、無理せず安定させることが大切な場合もあるなあと。

色々な状況があるのは当たり前のはずですが「ともかく行動」とか「ストレッチした目標がある方が良い」なんていう固定化された考えを持っている人も多い気がします。
そんなのは事業のフェーズによって戦略や必要な考え方は変化するもので、この考え方が正しいなんてものではなく「この考え方はこの事業のこのフェーズに合っているか」という観点が割と大事なんじゃないかなと思っています。

サブスクのSaaSなんかを売っていくときには、どこからリードが来て、そこからユーザーになるまで(また、その後も)どういう変化があるのか考えてモデル化したりするのですが、せっかくモデル化ができていてどこにリソースを投下すれば事業が伸びるかわかっているのに「色々やらねば」でリソースを分散させるのは自殺行為ですよね。

逆に、なんとなくユーザーはいるのだけれど、モデル化はできていないというフェーズにおいては探索のための試行回数を最大化させることが大事になったりします。

「それやってなんの意味があるんですか」「それやってどんな結果が出んですか」は、その前段階にあるときに考えても意味ないので。

ある新規事業チームをマネジメントしているときに、ともかく今は探索ための試行回数を増やさねばならないと思い、チームメンバーの評価指標にしていたことがあります。

成功・失敗に関わらず通常業務以外の打ち手を実施した回数が多ければ多いほどチーム内で褒められるし、人事評価のプラスにもなるというものです。

チーム内では「新しいこと沢山やるだけで良いって言われて、最初はなんでこれを人事評価にも組み込むんだと思ったけど、意外とこれ数をやるのムズいっすね……」と理解されて、メンバーもみんな試行回数を増やす努力をしていました。
※上長チェックによって「絶対に無意味な行動を増やして評価を上げる」というハックはできないようになっていました。

これの良いところは事業の伸ばし方がモデル・型になっていないとき、新しいことにイチイチ「それは何の意味があってやるんですか」とか「どういう成果が出る計画ですか」とツッコミが入りにくいことです。どんな成果が出るか調べるためにやるんだよ!!!

探索や試行回数が大事なフェーズでは「とりあえずやってみる×数」をこなして、そこから意味ある打ち手やどれくらい効果が見込めるかを学んでいくわけですから、「結果が出ることをやる」の前段階にあるわけです。

ただ、これは大変に他の部署や偉い人から評判が悪く(笑)、「結果が出ないことを評価するのをやめろ」とよく怒られていました。やめなかったけど。

 

モデル化されたら「やって意味あること」の追求になる(ことが多い)。

事業の成長がモデル化された後は、当然に持てるリソースをできるだけ投下することや、モデル化された変数のトラッキングをして徹底した調整をしていくことが求められる。

さきほどの探索が大事なフェーズと違って、できるだけ再現性と継続性があることに(キャップ上限がこないスキームを)ひたすらリソースをつぎ込む時期なのですが、徹底した調整がめちゃめちゃ大変なのに地味に見えるので、それが面倒と感じる人たちから「そんな細かいことやっても意味ない」みたいなことを言われたりします。だまっとれ。

まあ、まだモデル化されていない(もっと探索や検証をすべきな)のに、急ぎすぎて早めにモデル化された風味のオペレーションを始めてコケるのもよく見かけるから、そこの見極めが大事なんでしょうね。

部分最適が積み上がって全体最適になるような連鎖が起こる状態のことを「モデル化できた」と言っているので、そうならないのはモデル化されていないってことなんですよ(当たり前すぎる)。でもモデル化されていないのに、EXCEL通りに事業を進めようとする人がいるんですわ。

 

かなり単純化して書いてしまったけれど(実際は細かい粒度で考えることと事業の将来を考える場合があるので、こんな単純ではないので)、「この考え方は正しいか」ではなく「この考え方はこの事業のこのフェーズに合っているか」で考えないといけないんだよなあと思うシチュエーションが多いので書きました。自分も気をつけてがんばろう。